好きか、嫌いか。
って言われれば、勿論好きだけど。

「イルミー、ちょっといい?」
「何?」

きょとんとイルミが首をかしげる。
うんうん、本読んでた時は、この猫目が可愛いなぁと思ってたんだよね。

「あ。キキョウさんの気配する?」
「しないけ、」
ど、というイルミが発する予定だった言葉は、あたしの口に掻き消えた。
つまりは、胸倉を掴んで口と口をくっつけて、っていうかキスしてみましたっていうか。


「・・・何?」

反応が淡白だ。


いや、顔を真赤にして「何するんだよっ!!」なんて叫んでうろたえたら、あたし多分ショック死できるけど。
「いや、うーん・・・キス?」
「何で疑問形」
「さっきキルアにイルミが嫌いなんだって言われて、いやそうじゃないけどって言ったら、じゃあイルミが好きかって言われて」

で、どうなのかなーと思ってキスしてみました。
ほら、嫌悪感とかあると普通人ってキスできないじゃん。

「んー、でもキスしてみてもよくわかんないなぁ・・・」
「俺に言われても困るけど」

うん、まぁ確かにそうなんだろうけど。
あたしはそのままイルミの部屋を出て、考え事をしながら歩いた。

やっぱり好きは好きだけど、そういう意味の好きじゃないんだよね、きっと。
そういえば、あれってキスだよなぁ。


「あたし、イルミとキスしちゃった・・・のか」

いや、あたしから奪ったんだけど・・・っていうか、奪われるなよ、暗殺者。
ふと、あたしはそのまま外にあるガラスに目を移して・・・うつ、して。




「イルミイルミイルミ!!大変だ!!」
ダッシュでイルミの部屋に戻った。

「な・・・」
「顔が凄い真赤になってるっ!!発熱!?」

すっごい真赤になってるんですけど!!


「それって、照れてるんじゃない?」

「へ?」

さっきキスしたから、と言われて首をかしげた。


って俺のこと好きなんじゃないの?」
恋愛感情で。
「・・・」
さらりと表情を変えることもなく言ったイルミの言葉を、あたしは頭の中で反芻した。


あたしが、イルミを恋愛感情で好き。
恋愛感情で・・・イルミを、好き。


「えーーーー?」

「そこまで嫌な表情されると、さすがの俺も傷つくんだけど」





恋の病



( 指摘されてそこまで嫌な顔するっていうのも、なかなかないよね )