「てっちゃんを賭けて、決闘を申し込む!!!」 ビシリ、とあたしは思いっきり雲雀恭弥の顔を指してやった。 顔がいい?怖いけど顔はビューティフォー?金持ちそう? べらんめぇ! あたしには婿入り前のてっちゃんを奪った大悪党にしか見えないわ! 待っててね、てっちゃん!あたし、貴方を救う王子になってみせる! 「・・・何、君。咬み殺されたいの?」 「望むところだ!」 ヒュンっと音を立ててトンファーを取り出した雲雀恭弥に向かって、あたしはビシっと箒を構える。 とりあえず頼りになりそうな武器はこれくらいしかなかった。 で、でもでも!これでもきっとトンファーにも勝てるはず!! あたしのてっちゃんへの愛があれば!! 「群れて来なかったのは賢い選択だよ。気が済むまでボコボコにしてあげる。刃向かうなら容赦はしないよ」 う。思った以上に怖いぞ、こいつ。 ちょっとだけ震えそうになったけど、唇を噛んだ。 がんばれ!頑張るんだ、あたし! ここであたしが負けたら、誰がてっちゃんをこの魔王が占拠する悪しき城から救いだせるというの! ファイオー!あたし!! 「てっちゃんはあたしが救い出す!」 びしっと箒の先を向けて、あたしは戦闘態勢に入った。 てっちゃんの幼馴染に生まれて、早15年。 いつもだったらてっちゃんが護ってくれたから戦ったことなんて無かったけど、てっちゃんのためならあたし戦ってみせる! 「ねぇ、君名前は?」 覚えといてあげるよ。と嫌味ったらしげに悪の魔王雲雀恭弥がヒュンヒュントンファーを回しながら言った。 「!」 クラスメイトだっつーの! こいつはなんと失礼な奴なんだろうか!同じ教室の奴くらい覚えておけ! 呆れたし、臨戦体制に入った雲雀恭弥にちょっとビビったけど、ここで引けるわけが無い。 ここで立ち上がらなくちゃ、てっちゃんが救えない! 躊躇したら負けだ! 一歩、横に動いた。 戦い方なんて全然知らないけど、女は度胸だ! てっちゃん、あたしの戦いを見ていて! 「ねぇ、さん。さっきから聞きたいことがあったんだけど」 「な、何よ!」 今更決闘は無しなんていわないでよ! あたしの言葉に雲雀恭弥は一度首を振って、 「君、さっきから誰のこと言ってるの?」 「・・・は?」 ちょっと待て、分かってなかったのか、こいつ。 「いい!?てっちゃんってのはね、あなたという悪の帝王に囚われた可哀相な私の幼馴染!」 ビシっと雲雀恭弥を指さした。 「草壁哲矢のことよ!」 |