「ありがとう、綱吉君。また何かあったらよろしくね」 「できれば二度とよろしくしたくありません」 きゅっと手を握ると、綱吉君が顔を逸らした。 同じように隼人君にもすると、隼人君も顔を逸らす。 ふふふ、素直な後輩ね!(脅したとかそんなんじゃないのよ、うん) 「さぁ、てっちゃん帰りましょう!」 屋上でボンヤリと魂が抜けたように突っ立ってるてっちゃんの腕を抱きしめた。 もう、てっちゃんってば純情なんだから。 でも大丈夫、あたし頑張ってリードするから! 「二人でてっちゃんの部屋という愛の巣へ行きましょう!」 てっちゃんの大好きな委員長が許可くれたんだから、ね? 魂が抜けたままで動こうとしないてっちゃんの腕を抱きしめたまま、ズリズリと引きずった。 運動神経悪くたって、引きずるくらいならできるんだから。 「じゃあね、綱吉君、隼人君、武君、リボーン君」 てっちゃんの腕を抱きしめながら、苦笑してる綱吉君たちに手を振った。 「そ、それじゃあ、また・・・。先輩」 ははは、ははと笑い声が聞こえた。 ぎゅっと握ったてっちゃんの腕は、服の上からでも分かるくらいに筋肉がついていて、頼りがいのある腕だった。 素敵! 「てっちゃん恥ずかしがることなんてないわ!あたしてっちゃんだったら何でもいいんだもの!」 リーゼントじゃなくたって、草くわえてなくたって、濃い顔じゃなくたって。 てっちゃんだったならなんだって受け入れてみせる! 「当分は二人でいたいから、あれ買わないとね!」 さぁ、行きましょうてっちゃん! そうぎゅうぎゅう引っ張ってると、やがててっちゃんが正気に戻った顔をした。 「てっちゃん?」 けど、プルプル震えて動かない。 「・・・な、な、何を破廉恥なことを言ってるんだーー!」 すごく顔を真っ赤にして言うてっちゃん。 破廉恥って昔の人じゃないんだから・・・でもそんな古めかしいところも素敵! 「委員長の許可も貰ってるんだからいいじゃない」 「いいじゃない、じゃない!」 茹で蛸みたいに赤い顔をしたてっちゃんが思いっきり叫んだ。 「てっちゃん、「ああ」って言ってくれたのに・・・嘘だったの?」 秘儀、嘘泣き。 ほろほろと涙を零すと、てっちゃんがう、と声を詰まらせた。 小さいころからてっちゃんってあたしの涙に弱いのよね・・・(ふふふ)。 「い、いや・・・その」 「じゃあ行きましょ!てっちゃん」 もう一度腕に抱きついて、うんうん唸って考え込むてっちゃんを引っ張っていった。 「大好きよ、てっちゃん!」 |