「それじゃあ、改めましてよろしくお願いします、ザンザ・・・いえ、あ・な・た」

「ちょ、もう夫婦気分〜!?!?」


ああもう、うるさいわね、綱吉ってば。

確かにザンザスさんに出会わせてくれたことには感謝するけど、でもそれとこれとは別よ。
人の恋路を邪魔する野郎は、あたしが馬で蹴って豆腐の角に頭をブチ込んで眠らせてやんよ、なんだから。


「・・・綱吉、あんまりうるさいと・・・・・・眠らせるわよ?永遠に」

「すみませんでした」
即座に土下座した綱吉によしとうなづいて、あたしはザンザスさんに向き直る。

てへ、ちょっとおいたしちゃった。


「さて、ザンザスさん、挙式はいつにします?あたしやっぱりウェディングドレス着たいんです。あ、あと子どもは3人くらいがいいなぁ。一姫二太郎っていいますし」
「まだ16歳にもなってないんですけど・・・。うう・・・しかも家族計画とか・・・早すぎる」

ぐすん、と綱吉が泣く声が聞こえる。
ああもう、ウザったいわね。

「綱吉、どこに文句があるっていうのよ!顔良し、金あり、そして何より格好いい!!」
「最初と最後一緒だよね!?」
「全然違うわ、カスが!」
「いつの間にザンザス口調っ!?」

違うわよ、これはこの間までやってたテ○ルズシリーズの、赤毛鶏だもの!
一体何が不満があるっていうのよ!と聞くと、綱吉がばっと顔を上げる。


「だって、だってザンザスとの年齢離れてるし!ぶっちゃけザンザス超怖いから弟なんて呼びたくないっていうか、義兄さんって呼ばれた日には失神しちゃうし・・・・・・それに、それに、婚約するように言われたってだけで、を好きでもない男なんかと結婚するなんて、あのクソバカ家出親父が許しても、俺は絶対に許さないからなぁあああ!!」


・・・さりげなくお父さん馬鹿にしたよね、お兄ちゃん。

「ここぞと言わんばかりだぜ・・・」

はぁ、と後ろでスクアーロさんが言った。
お兄ちゃん・・・心配もごもっともだと思うわ。
確かに、ザンザスさんはあたしのこと好きじゃないだろうけど。


「ストックホルムシンドロームって知ってる?」
「え・・・?えっと、確か、犯罪者と一緒に監禁されたら、同情しちゃうとか、そんな?」

そう、その通りよ。


「つまり結婚したのをいいことに、権限を使いまくって浮気の余地をなくすことによって、抱え込んだエロスはあたしにしか発散できなくなるわ!っていうか、させるわ!そうすることによって、段々人というのは情が生まれてくるものよ。そこをうまい具合につきまくって、落とす!数年もすれば諦めによる許容が出てくるはずよ!そこを無理矢理恋愛思考に変えさせれば、モーマンタイよ!」


「・・・おい、ボス・・・犯罪宣言されてるぞ」
「・・・言うな」

ぽけーっとあたしを見てる綱吉に向かって、あたしはソファに片足を乗せたまま、ふさぁと髪をかきあげる。
土下座した状態だったせいで、見上げてくる綱吉にあたしはふっと小さく笑った。

「いいこと?綱吉。・・・迷路はね、複雑であれば複雑であるほど、攻略しがいがあるってものよ」
「・・・」
「お、おい、大丈夫かぁ?」
スクアーロさんが綱吉を気遣って肩にそっと手をかけてるけど、何の心配もないわ。

「・・・・・・」
「なぁに?綱吉」
キラキラとした目をした綱吉が、あたしを見上げた。

「か、格好いい・・・!」

「う゛ぉ゛お゛お゛お゛お゛お゛い゛!?!?!?」


おーっほっほっほ、綱吉の思考回路なんてものはお見通しよ!


「あらあら、ちゃんったら、おてんばさんね」
「お転婆で片づけて良いのかよ、う゛ぉ゛お゛お゛い゛!」
「・・・俺は、何もしらない・・・何も、見ていない」
「ちょ、現実逃避するな、ボスぅうううう!!!!」

若干一名うるさいツッコミが騒いでるけど、とりあえず無害なので放置でいいかな!
旦那様の部下だもの、とりあえず存在無視で済ませてあげるわ。




「さぁ、明るい未来を築きましょうね、あ・な・た!」

「・・・マフィアに明るい未来も何もないと思うぞ・・・う゛ぉ゛お゛お゛お゛い゛」





家族計画しましょ!



( 教会はやっぱり海の見えるチャペルがいいよね!っていうか、それ以外は認めない )


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