「まいごのまいごのこねこ・・・じゃなくって、こいぬちゃん」 「って、誰が子犬らっ!」 無理矢理ガシっと手を繋いで子どもみたいにブンブン振り回しながら黒曜ヘルシーランドに向かった。 どうやらよく分からないけど城島はあそこに住んでるらしい。 「骸さんと、あと柿ピーもれす」 「骸さんって・・・六道骸か。あと、柿ピーって?」 まさか柿の種とピーナッツの入った袋と一緒に住んでるわけでもないだろうし。 いや、冷静に考えてもあだ名なんだけどね。 「柿ピーは根暗なやつれす」 「あー・・・えっと、もしかして一緒にいる柿本千種君?」 そういえば、柿の種だ、彼は。 確か友人情報だと必ず一緒にいて、中にはとある一部の女の子達はそれを邪まな目で見てるらしいけど。 まぁ、そんなことは関係ない。 「そっかー。いいねぇ、友達3人で暮らしてたら気が楽だねぇ」 直感で、この3人には親がいないんじゃないかと思った。 なんせあの黒曜ヘルシーランドに住んでるくらいだし(どうやって学校への資金を稼いでいるかとかは分からないけど)、なんだか両親に囲まれて平凡にすごしてるって感じはしない。 何せ、あたしですら知っているほど、六道骸は今をときめく時の人・・・って言い方は古いけど、兎に角有名人なのだ。 いろんな意味で。 「お前変な女らのなー」 ブンっと腕が一際大きく揺らされた。 「城島に言われたくないわ!っつーか、あたしの名前言ってなかったけど、ね。一応同じクラス。今日友達に言われて気づいたんだけど」 おりゃっと振り返してやると、また競争みたいに振ったり、振れないように力込めてみたり。 静かで激しい闘争をしながら、黒曜ヘルシーランドへの道を歩いていく。 「ふーん。な!覚えといてやるれす!」 「呼び捨てかよ。ちきしょう・・・まぁいいけど」 うぉりゃ、と城島がまた腕を振ろうとした瞬間、思い切りその力を利用してぐいんっと上にあげると、城島の腕がゆがむ。 「ぎゃーーーー!!!」 うん、素敵な断末魔。 「ははははは!私にかなうと思ったかね、ホームズ君!」 「ホームズってられぇ!?っつーか、いてぇいてぇいてぇ!!」 本気で泣き叫ぶ声を愉快愉快と聞きながら、ニヤニヤと笑う(性根が悪いのは百も承知だ)。 「そうして、徐々に彼は痛みが快感となっていくのだった・・・」 「らってねぇっつーのっ!!」 とりあえず馬鹿騒ぎをしながら黒曜ヘルシーランドに付くと、そこには黒曜の制服を着てる人間が一人。 あの高い身長にニット帽。 友人から聞いた特徴そのままの、柿本千種だ。 「あ、柿ピー!」 城島が開いてる方の手でブンブンと振って、うれしそうに走り出した。 うん、うん・・・城島。 あたしと手を繋いだまま走るのはやめてくれっ!! どうやら、お巡りさんは猫だったらしい。 |