「たのもーーー!!花嫁表でろやっ!」 タイマン張ってやる!そう意気込んで、あたしは並盛教会の扉を思いっきり開いた。 「・・・、君ね。言葉遣い直しなよ」 はぁ、と恭弥さんがいつもの学ラン姿で漫画とかドラマで見る新郎の位置に立っていて、本来神父さんの居る場所は空っぽだった。 いや、それよりも。 「恭弥さん・・・新婦は?」 あたしの敵になる予定の子は影も形も見えなかった。 「何いってるの。そこにいるでしょ」 「・・・・・・・・・・ひょっとして、幽霊とかですか?」 さすがに幽霊とかと戦える自信ないんですけど(何せ奴等はポルターガイストが使えるからね!)。 「・・・君、馬鹿だ馬鹿だと思ってたけど、本当に馬鹿だね」 「うっ!そ、それはそうだけど!」 そりゃ、恭弥さんの好みみたいな賢くて聡明な女の人になんて逆立ちしてもなれませんよ。 「、おいで」 そう言われて、あたしの足は勝手に恭弥さんのところに行った。 隣に立たされて、恭弥さんと向き合う。 「折角人が計画してたっていうのに勝手に勘違いして突っ走ってくし」 ふわりと柔らかく恭弥さんが笑った。 ああ、本当ですか、神様。 「体力ないし、アホだし、馬鹿だし、間抜けだし、人の話聞かないし」 願いを、かなえてくれるんですか? 冷たい感触がして、左手を握られた。恭弥さんの左手には、あたしの左手にあるのと同じ物がついていた。 「恭弥、さん・・・っ」 「言わなくても分かりなよ。本当、馬鹿だね」 折角冷やしたのに、また涙がポロポロ溢れてきた。 「無理ですっ。わかんない、複雑すぎて、わかんないんです」 「そう?僕の心って以外と単純だよ」 優しく髪を撫でられた。それから恭弥さんが口を開いた・・・まるで誓うみたいに。 「好きだよ、」 「はひぃ・・・良かったです、さん」 ちょっと離れた教会の入口で、ハルは二人の様子を紅潮した頬で眺めた。 「・・・ねぇ、ハル」 「はい?何ですかツナさん」 しっかりと目を見て、それから笑ってくれるハルに、綱吉も笑みを浮かべた。 「いつか、俺らもあれやろうか」 隣にディーノがいたけれど気にしないように言うと、ハルは目を見開いて、それから蕩けるように幸せそうな顔で笑った。 「喜んで!」 どっちも幸せだな・・・と若干ディーノが疎外感を感じた瞬間。 「・・・ところで、君たち何見てるの?」 刺すような冷たい声で、恭弥さんは入口に居る皆に向かっていった。 こ、怖い・・・。 「何って、恭弥の愛を誓う瞬間に決まってるだろ!」 「ディーノさん!」 慌てて沢田君が叫ぶけど、時既に遅しだった。 「いい度胸だよね・・・。咬み殺す」 楽しそうに応戦しているディーノさんと被害を受けている沢田君がいて、その中心にいつもの(それと心をくれた)恭弥さんがいて、あたしは思わず笑った。 |