「先輩、大丈夫・・・じゃないですよね」 あの後追いついた沢田君に連れられて、あたしは沢田家にいた。 「さん、冷やしたタオルです」 と差し出してくれたのは遊びに来ていたハルちゃん。 「ありがと」 受け取って目にあてると、ひやっと冷たくて、じわりと染みた。 何も言わなかったな、恭弥さん。 「あ」 突然プルルルと音がして、ハルちゃんが立ち上がった。 どうやら電話で、「はい、沢田です」と言っていて沢田君が少し変な顔になってた。 「擦ったせいで赤くなってる・・・もうちょっと冷やしたほうがいいですよ」 そうしてそのタオルが温くなったころ、突然ハルちゃんが飛び込んできた。 「大変です、さん!」 ものすごく切羽詰ったような言い方に、あたしは驚いた。 「恭弥さんが並盛教会で結婚するって!」 草壁さんから連絡があったんです、と叫ぶハルちゃんに、あたしは頭の中が真っ白になった。 「ちょ、ちょっと待てよ、ハル!この年で結婚なんて出来ないだろ?」 「はい。だから結婚式だけするって・・・」 チラリとハルちゃんがあたしを見た。 それに続いて沢田君もあたしを見たけど、頭の中は真っ白で、愕然としてた。 恭弥さんが、置いたの? あたしが立つ場所だったはずのところに、置いたの?違う人を。 ひょっとしたら、あたしより賢くて聡明な人なのかもしれない。 凄く美女でスタイルよくって、隣に並んだって謙遜のないくらいの。 「先輩」 「さん・・・」 二人の心配気な声が聞こえて、あたしは顔をあげた。 息を呑む二人の声が聞こえた。 あたし以外の人が隣に立つなんて。 「そんなの納得できるかーーーーーー!!!!」 急いで立ち上がって転がるように靴を履いて飛び出した。 あたし以外の人を隣に置くなんて、そんなの納得できないし、納得する気もない! 急がないと。 だって絶対にあたしはこの世界中の誰よりも恭弥さんのこと見てたって、好きだって、まだ伝えきれてないのに。 途中転びそうになったりしながらも、あたしは並盛教会まで思いっきり走った。 むしろ転んだって構わなかった。 怒涛の勢いで出て行ったに、綱吉は呆然と玄関を見つめた。 「それじゃあ、ツナさん。ハルたちも行きましょう」 「え、あ、うん」 引っ張られるままに靴を履いて、綱吉達も歩き出した。 |