「ろくどう、むくろ」


つい先日やってきたばかりの、並盛の転校生の名前。
綱吉達と知り合いらしくて、よく話をしているのを見かけた。

濃い藍色の髪に、白い肌に、目が片方だけ紅いからオッドアイなんだと思う。
まー、女顔負けの綺麗な顔だこって。きゃーきゃー叫んでる友達の横で、あたしはこっそりと溜息を吐いた。

なんだか、(あの変な髪形は置いといて)全部がツクリモノみたい。


「・・・ああ、でも」

あの声は好き、かも。




「つーなーよーしー!」
「げ、・・・!?」
綱吉が驚いたように顔を上げて、目を見開いてあたしを見た。

まぁ、それもそうだろう。
なんたって、綱吉が一人になるのを見計らったため、丁度次の授業のチャイムが鳴った後なんだから。
あ、ちなみにこの時間は自習だって、丁度朝に会った先生に言われたから、所謂計算済みって奴である。


あと、もう一つ驚いている理由。
「が、学校じゃ話しないってっ・・・!」
「誰がそんなこと何年何月何日何曜日何時何分何秒言った?記憶にないね!あ、この時間先生いないから自習だから、っつーわけで綱吉―――顔、かせよ?」

断ったら、分かってんだろうな?
にっこりと笑ったあたしに、綱吉は顔を真っ青にして何度も何度も頷いた(あら正直)。



「は、はいっ――」
「ちょ、何だてめぇっ!十代目に何しやがるっ!!」
ガタンと椅子が思いっきり倒れた。
そっちを向けば、やっぱり立っていたのは腰ぎんちゃく・・・もとい、獄寺。


「何よ、別にボコろうとか、告白しようとか、そんなんじゃなくて幼馴染の個人的な用なんだから、あんたには関係ないでしょう、獄寺」
「関係あるに決まってんだろうがっ!十代目の右腕は俺だっ!!」
あーもう、うるさいなーこいつ。


「うっさいわねぇ!そこまでしつこいと、綱吉を子どもの産めない体にするわよっ!!」
「いや、もとより産めないからっ!!」

「じゅ、十代目!すみませんでした・・・俺、分かってあげられなくてっ!」
「獄寺君も何誤解してるのっ!!男だから!俺男の子だからっ!」
ほろほろと涙を流して綱吉に縋る獄寺に、綱吉があーもう!と叫んだ。



も変なこと喋らないでよね!獄寺君は馬鹿なんだからっ!」
信じちゃうでしょ!と綱吉が叫んだ。


「いや、今一番綱吉が酷い事言ったって」
「じゅうだいめ・・・」
また獄寺君がほろほろと泣き出した。

何か面白い忠犬だなぁ・・・。
一番酷いことを言ったはずの綱吉に縋りつきながら泣く獄寺にはぁ、とあたしは溜息を吐いた。


仕方が無い・・・こうなったら。
「アイコンタクトで話をするか!綱吉!」

「できないからっ!!」





そこはほら、根性で



( 出来ないもんは出来ないっていってんだろーーーー!? )


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