「ち、これだからダメツナって言われるのよ、うじ虫ツナ」 「うじ虫ってさらに酷いぜ?」 あははっと爽やかに笑って言ったのはちゃっかりと近くにやってきてる山本だった。 「こんにちは、野球部エースの似非笑顔王子山本。相変わらず皮被ったような爽やかな笑顔で来てるけど、お前が黒いのはお見通しだからな」 世界中の女が騙されようとも、あたしは騙されてやるものか。 とりあえずさっさと用事を済ませてしまおうと、綱吉の机の前に座った。 「六道骸ってさ、彼女いるの?」 「・・・・・・・・・・・・・、それだけ大音量で聞けるなら、むしろ本人に聞いたら?」 俺があんなに叫ぶ必要なかったじゃん・・・と落ち込んでしまった綱吉に、あたしは首を傾げた。 何で六道骸に聞くの、 「あ、そういえば同じクラスだった」 このクラスに転校してきたんだっけ。 「今更っ!?」 ぎゃーぎゃー騒ぐ綱吉の横に、六道がやってきた。 「別にいませんが、彼女を作るつもりはありませんよ」 「うん、そうだろうなって思った」 にこやか笑顔で言う六道に、あたしもうんと頷いた。 じゃなきゃこの顔だったら女の子一瞬で落とせるっつーの。 あははっと笑うと、骸が不可解そうな顔をした。 「ならどうしてそのようなことを聞くんですか。理解に苦しみますね」 「あたし、六道の声が好きなんだけど」 答えを返すと、さらに六道は変な顔をした。 「は?」 綱吉たちまで変な顔をした。 とりあえずポカンとしてるギャラリーは放っておいて、あたしは鞄からマイクとノートパソコンを取り出した。 あと、ノートも。 「とりあえずこの台本に書いてある言葉を録音してくれる?」 ノートパソコン、すごく高かったんだから丁寧に扱えよ? 開き方も録音の仕方も説明して、閉じて六道に渡す。 「別に他の人の声とか入っても気にしないから、お願いね」 よろしく、と六道の肩を叩いた。 「ね、ねぇ・・・。何で声?」 綱吉が恐る恐るって感じで、あたしに聞いてきた。 「だからさっき言ったじゃん。あたし六道の声が好きなんだってば」 「って声フェチだったんだな」 「黙れ山本武」 まったく、これだから黒っていうのはいけない。 呆然としながらもちゃんとノートパソコンとマイクとノートを持ってくれている六道を確認した。 「綱吉、これから学校でも話し掛けるから。やっぱり、あたしのボケに最高のツッコミを入れてくれるのはアンタだけよ、綱吉!」 「俺の価値突っ込みだけっ!?」 ツナがそう叫んだ瞬間、授業が終わるチャイムが鳴り響いた。 |