「骸、骸離して」
ペチペチと背中を叩いてみたけど、骸は離れてくれなかった。


「いやです」

いやですって、休憩になっちゃうから、きっと綱吉達来ちゃうから。

そう主張してみたけど、骸は首を振った。
「あともうちょっと待ってください」
なんだかその声が少し焦っているようで、あたしは思いっきり骸を剥がしてみた。



「・・・・・・・・・・・・・・・」
「っ―――!!!」
ごめん、きめ台詞より、笑える。


「っあはは!骸顔真っ赤ぁ!!」
「黙りなさいっ!僕にだって一応血管とか体温とかその他もろもろあるんですから、赤くなるのは普通のことでしょう!」
色々反論してるけど、あたしは笑いが止まらなかった。

「はー、はー苦しっ、やべ、明日槍が降るかもっ!」
「降らせてあげますよ!貴方の頭上に!!」

「うぉ!出た、天気使い骸!」
「いや、なんですかそれ」
ぎゃーぎゃー笑いながら会話してると、骸の顔もどんどん戻っていった。
あー楽しかったのになぁ。




そうこうしているうちにチャイムが鳴って、綱吉が走ってやってきた。



「骸!!!・・・・・・・・・・・・・・・・って、何してるの・・・・」
どよーんと暗い影を背負って、綱吉が落ち込んだように言った。


何してるのって・・・。
「とりあえず、骸捕獲?」

ベシャっと骸をうつぶせに倒して、その上に手を掴んで足の上に乗って骸を捕獲してみました。
という構図なんだけど。


もう諦めきってる骸と綱吉がはぁと溜息を吐いた。


「突然連れて行くから心配してみれば・・・俺帰ろう」
「とりあえずをどかしてくれませんか、綱吉君」
重いんですけど、と骸が言った。

それって普通女の子に言う言葉か、おい!
「重くて結構!むしろ体重無いほうがきもちわるいから!」
空気人間になれってか、と叫ぶと、それでももうすこし軽くなりなさいとか言ってきやがった。


「畜生!そういうやつに限って綱吉みたいな天然変態になるんだぁあ!」
「何で俺が変態なんだよっ!」
「1年のころよく裸になってたくせにっ!」
突っ込みにさらに突っ込んでやると、綱吉がうっと言葉に詰まって、骸がこっそりと笑っていた。




「本物の骸げっとー」
「何馬鹿なこと言ってるんですか、というかさっさとどいてください」


あははーと笑って誤魔化した。





本物を手に入れたときに



( 足りないなんて思ってたそれは全部満たされて、まるで欠けることを知らないみたいに )


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