マネージャー業は、血を吐くほどに大変です。

まぁ、一年生を使役してるし、洗濯は全自動だし、金持ち万歳なんだけどね。



「跡部ー、監督が練習メニュー表だってさ」

「・・・お前、今の状況見えてんのか?あーん?」


一層低い声で言った。
え、勿論分かってるよ、っていうから興味ないから安心してね。

「着替え中ってこと?」

勿論分かってるよーあっはっは、というと跡部の額に青筋が浮かんだ。
これでテニス部のファンだったら歓喜極まって喜んでるんだろうけど(それ以前に普通の女の子だから一応恥ずかしがるかな?)、あたしがそれやったらキモいだけだし。

「跡部や忍足先輩の裸には興味ないんです。いいからさっさと受け取れっての」
あ、もちろん他のみんなの裸も興味ないから(若干一名を除いて)。

「・・・・・・ああ」
ガクリと崩れた跡部が監督のメニュー表を受け取る。


「あー・・・やっぱ日吉の筋肉すげー、素敵ー、襲いたいー」
「何か恋する乙女っていうより、肉食獣の目だC−」

ずしり、と背中に重い感触。

「ジロちゃん先輩!のしかからないで下さいってば!本当マジ重いです、っていうか人に裸で密着すなー!!」


キモいわーーー!!!


この美形集団テニス部にこうやって叫べる女ってあたしだけなんだろうなぁって思ったり(いや、美形なのは認めてるよ、うん)。
あ、っていうか本気でや、ばい・・・。


「・・・芥川先輩、いい加減にしないとが本気でつぶれると思うんですが」

日吉の声にパっと顔を上げると、そこには日吉の腹筋があった。
何かもう、潰れてもいい。


「ひ、ひひひひ、日吉!だめよ、そんな腹筋さらしちゃ!襲われちゃうわ!」
「は?」

バリっとジロちゃん先輩を跳ね除けた。

「そやでー、ちゃんにかかったら、日吉なんて剥かれて襲われてまうで?ちゃんに」
「え、いや。わけがわからないんですけど」

本気で不思議そうに首を傾げる日吉も可愛いなぁ、もう。

「お、お前!こいつの本性知らないのかっ!?」
嘘だろ、みたいに跡部が言った。

跡部・・・あんた後で四の字固めかけてやるよ。


「本性・・・?」

日吉が訝しげに眉を寄せて、ちらりとあたしを見た(そんな日吉も格好いい!)。
というか、忍足先輩またのしかかってくるの止めてくださいますでしょうか。忍足先輩は引き剥がせないから尚更キツいっていうか・・・。


「ははーん・・・なるほど、そういうことか。あーん?」

ニヤりと跡部が笑った。
っていうか、何がそういうことなのさ!人置いてくなっつーの!!

「こりゃ、楽しくなりそうやなー」
「いや、楽しい楽しくないはどうでもいいから、いい加減半裸で人の上のしかかんのやめてくださいぃ!!」

忍足先輩にくっつかれても嬉しくないんですよー!!





ロック・オン



( だから見たいのは日吉の裸だけなんですってばー、ああもう重いなこいつら!! )


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