「ひ、ひひ、日吉っ!」 「?」 本当は声をかけるのにも勇気いるんだけど(どれだけ乙女なんだって自分で突っ込んでみる)。 とりあえず頑張ってみる(ああちくしょう、なんかキャラじゃないんだよー!!)。 誘え、誘うんだ・・・球出しさせてくれないって、誘うんだっ! 「あの、あの・・・ね!」 「ああ」 だから自分誰だよ、本当にもう!(こんなの自分じゃねぇっ!) もうものすごく心臓バクバクで、とりあえず他の奴等には近づくなと念を送っておくけれど、とりあえず早く言わなくちゃっ。 「た、た、た、たたたた、球出しさせて、くだっ、さい!」 言ってしまったっ!いや、告白ってわけじゃないのに、どんだけだ、自分・・・。 絶対に呆れられてるよな、これ・・・うん。とかって思ってると、日吉が口を開いた。 「じゃあ、頼む」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・今、何ていった? 頭の中で、さっきの日吉の言葉がぐるぐるとエンドレスリピートしてた。 「おっけー!任せて!!頑張ってリーふげっ!!」 リードするわ!って言おうとしたら、突然ボールが飛んできた。 何すんじゃてめぇ!(視線の先には跡部) 跡部は口パクで「お前のためにしてやってんだろ」とか恩着せがましいことを言っていた。 まぁ、そんなことはどうでもいい。 「じゃあ、コート入ろう」 「ああ」 あぁ、幸せっ!うふふー、あははーと笑いながら(あたしだけが)球出しをした。 けど、楽しい時間っていうのは過ぎてしまうもので。 あたしの物凄い球にいつの間にか試合になっていて(昔はよくならしたもんよ・・・くけけ)、呆れた皆が帰ったことに気づいたのはすでにどっぷりと日も暮れたころだった。 「わー・・・すげぇ」 真っ暗ー。日吉も星が出て寒さが体にしみるほどになるまで気づかなくって、日吉も暗さに驚いてた。 「どうりで・・・途中からたまにボールが見えないとは思ってたが・・・」 「いやいやいや、日吉気づこうよ」 あははーと乾いた笑いしか出てこない。 そりゃ汗だくな日吉に抱きついてその汗臭ささえ匂っ・・・もとい、飛びつきたいのは山々だけど、疲れててそんな体力無かった。 「もしもしー?お母さんー?」 『なんばしよっと、不良娘がぁあああああ!!!!』 流石に遅すぎたなーと携帯で電話をすると、突然の大声にあたしは携帯をパっと離した(日吉にも聞こえたらしくて驚いた顔をしてた)。 「何でそんなどこかの伊達眼鏡先輩みたいなの!?母さん標準語でしょうがっ!」 『そんな気分だったのよ。何時だと思ってるの?』 それが・・・と話そうとした瞬間、携帯が無くなった(奇怪、携帯消滅っ!?)。 とかって思ったら、後ろで日吉が携帯を耳にあてて・・・てて、それ、さっきまであたしが、あたしが耳当てて、たっ! 「すみません、俺さんと同じ部活の日吉若と申します。部活についつい熱中してしまい、さんをつき合わせてしまい申し訳ありません。今から送りますので・・・はい、はい。すみませんでした」 日吉が謝ってるけど、耳に入らなかった。 っていうか今、日吉がさんって・・・ってっ!! 「よし、、帰るぞ。・・・?」 日吉に引っ張られて家に帰るまで、あたしは一人もだえていた(だって、だってだって!)。 |