「駄目だよ!警察は駄目!」


「コ、コウ君・・・」




おーい、コウ君、警察勘違いしてないかい。
って、そういえばココには海人さんみたいなライダー専門の警察がいるんだっけ・・・。


「え、えっと、大丈夫、だと思うよ。ほら、生活安全課とか、少年課とかあると思うし」

きっと。

多分あれは警察の一部だと思うし、ね。


そう説得してみるけどコウ君は頑として離れようとしてくれなかった。
それほどまでに怖いんですか、海人さん・・・。



「コウー?」
やばい、声が増えた。
小さな子の声が複数聞こえて、いつの間にかあたしの周りを囲うようにワラワラ増えてきた。

「あー、お姉ちゃんだ」
「どうしたのー?」
「おうちに帰ったんじゃないの?」

同時に聞かれても聖徳太子じゃないあたしが答えられるはずもなく(ってあれって本当に本当なのかな)。
困ってると、コウ君が涙目で叫んだ。

「お姉ちゃん警察に行くって言ってるの!」
ヒシっとまた足に抱きつかれた。
転ぶ、転ぶってコウ君。


「えー!!駄目だよ!お姉ちゃん!!」
一人の女の子が叫んだ。


「ナナ知ってるよ!警察はゴム弾でボンボン撃ってくるんだよ!死んじゃうよ!」

やっぱり海人さんのようです。
どれだけなんですか・・・。



子ども達の駄目だよコールを聞いてると、ふと誰かが「ぬえ!」と叫んだ。

ぬ、え。
って、保護者来ちゃったぁー!!!



「お前等何してんだよ・・・?」
「こんばんは・・・」
とりあえず頭を下げておきました。


「あれ?お前家に帰ったんじゃ・・・」
「あー、そう、だったんですけどねぇ」


現在公園っていう。

あはは、と言葉にせずに笑った、もう笑うしかなかった。
じゃないと、(我慢、できない)。


お姉ちゃん、おうちなくなっちゃったんだって」

「は?」
コウ君の言葉に鵺が驚いたようにあたしを見た。


「えと、そ、の・・・っ」

おうちなくなっちゃいました、っていう言葉は涙で消えた。





言葉にすると自覚する



( もうこの世界にあたしの帰る場所は無いんだってことを )