「えと、じゃあ・・・ふ、ふつつかものですが!」

「いや、嫁入りじゃねぇんだから」
ビシっと頭を叩かれた。




公園で思いっきり何度もないた後、ホームのお約束その1によってあたしは鵺たちと一緒にホームに帰ることになった。
その途中で鵺って呼んでいいっていわれました(漫画のキャラって呼び捨てだけど実際失礼だからって思ってたけど、クセだからなぁ・・・安心安心)。

「とりあえずの部屋は俺の隣な」
中に入ってみればたくさん部屋があって、一人4人くらいの部屋らしい。
だけど、さすがにってことらしくて、あたしは小さな一人部屋に案内された。


「何かあったら遠慮なく言えよ?」
「あ、うん」

「じゃあ、おやすみ」
おやすみなさい、と返すと鵺がニカっと笑った。


そういえば、夜だったんだよね。

本当、ここの世界の不良な人たちとかに捕まんなくて良かった・・・。
本編を思い出して、あたしは背筋をゾクリと震わせた。

運がいいのやら、悪いのやら。



「疲れた・・・」
ボスンとベットの上に転がった。

もう元の世界には帰れないんだと、思う。
それはジタバタしてたって仕方が無いって分かったし、泣いてる場合じゃない。
それに、あたしはもう独りじゃなくなったんだから、怖くない、と思う。

ああもう!

あたしは無理矢理目を閉じた。
考えてたってしょうがないっ!


「寝よ・・・」
ギュウっと目を閉じて、布団にモソモソと蹲った。


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
のは、いいけど、眠れない。

一瞬も睡魔なんてものはやってこなくって、そういえばあたしこの世界にやってきてまだ一日目なんだなって思った。


時って、長い。
眠ったら夢だったなんてオチになるかもしれない!って思ったけどこんなにも感触とか温度を感じるし、さっき頬抓ったけど痛かったから夢じゃない。

ってことは、寝たら、このまま死ぬっていう可能性もあるんだ。
そうだよ、だってあたしはトラックに轢かれたんだから。

普通のことだ、轢かれたら死んじゃうんだって思ったけど、それでも眠れなかった。



むしろ、怖くて。


「死ぬのが、怖い?」
ゾクリと背筋に悪寒が走った。

あんなにも元の世界に帰りたいとか、どうしてそのまま死ねなかったのって思ったのに、今すごく怖くて怖くて仕方が無かった。
眠ったら、死んじゃうかもしれない!


「っ!」
布団の中に一人でいるのも怖くて、あたしは急いで立ち上がった。


そのまま暗い廊下を手探りでちょっと歩いて、扉に手を触れる。



「鵺、君?」
起きてる?とあたしは扉を軽く叩いた。





私はその死に恐怖した



( あんなにもそれが当然だと私は思っていたというのに )