「お前・・・確か眠りの森の?」 「っ、軽々しく名前を呼ぶな!!」 何で、どうしてどうしてどうしてどうして!こんなの想定してなかった! どこまで悪魔はあたしを蹴落とせばいいのっ!? 「ちょ、待てよ。落ち着けって・・・」 ひとつ距離が近寄る。 「煩い!近寄るな!」 こいつは敵、敵なんだ、敵なんだから!皆を脅かす、敵。 タオサナクチャ。 「待てよ」 「―――――っ!!!」 はや、い。 気づいた時には近くにいて、腕と足をつかまれてた。 ああ駄目、触れてることだけで・・・嬉しい。 苦しいよ。苦しいのに嬉しいって何なの、もうわけわかんない。 「はな、せっ!」 「ちょっと雨宿りしに来ただけだっつーの。と戦う気はねぇ」 「名前を呼ぶなっ!!」 煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い煩い、心臓が煩い! 呼ばないでっ!触らないでっ!やめてっ!やめてよ! 嬉しくなんてないっ!! 「離し、てっ!」 ツンと鼻の奥が冷たくなって目頭が熱くなって、目の前が歪んでそれが一瞬普通に戻って何度も歪む。 気持ち悪い、歪んでく。どうしよう、どうしようどうしようどうしよう! 「お、おいおいおい!俺そこまで何かしたかっ!?」 やめてよ。何でそんな心配そうな顔するの? 敵だって睨んでよ!お願いだから・・・。 「離して、離し、てっ、離してよぉ!」 手が暖かい、凄い近くに居て、目があたしを映してる。 それが死にたい程に苦しくて・・・嬉しい。 違う違う違う違う、駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ!!!裏切りだこれは、裏切りなんだこれは。 裏切らないって絶対に裏切ったりなんてしないって誓ったじゃない。 だからあたしは裏切らないんだ。 こんなにも近いところにいるのを喜んだりなんてしてないし、手があたしの腕と足に触れてるのを嬉しいなんて思ってないし、まさかその手が暖かいなんて思ってないし、この涙が嬉し涙なわけないっ!! だってあたしは皆を裏切ったりなんてしないんだから。 ―――・・・じゃあ、これは? 「っ・・・!!はな、はなせぇっ!!」 思いっきり手を振り払った。 「あなたはジェネシス。ジェネシスは眠りの森の敵。皆の敵は、あたしの敵」 だから、雷の王・・・鵺、貴方は敵。 あたしの、倒さなくちゃいけない相手。 「エネミーは、倒す」 |