一言いってもいいかな・・・。

女の子って怖い。




鵺とあたしが付き合ってるっていう噂は、水面下(女の子の間で)瞬く間に広がった、らしい。
何やら、鵺ってA・Tでものすごい人らしい。たしか、静電気・・・違う、雷の王、だっけ?

兎に角、それでファンが多くて、すぐに広まったらしい。
どこで、何を見られてるか、なんてことは分からない。



「こりゃ、古典的だ・・・」

学校にきて、机の中には、誹謗中傷の手紙だらけ。
置き勉(教科書を学校に置く)なんてしなくてよかったなぁ・・・と、どこか違うところでボジティブに考えた。
うん、まぁ、へこたれないよ。この女の子たちも鵺が好きで、あたしなんかじゃ認められないんだろうし。

鞄の中を探って、みたらし団子を取り出した。
うん、おいしい。
誹謗中傷の手紙は、全部ビリビリに破いて捨てた。

大丈夫、うん。傷ついてない。

またみたらし団子を食べて、耳にイヤホンつけてると、軽い車輪(っていうとおかしいのかな?)の音がした。


「おふぁひょー」
「おう、おはよ、ってまたみたらし団子食ってるのかよ」
「んふー、ははひはへひゃん」
「“あたりまえじゃん”って、食うか喋るかどっちかにしろっつの」
A・Tを脱ぐ鵺が、ジロリとあたしを睨んで言うので、ゴクリと飲み込んだ。

「うっさーい。鵺だって、A・T履いて学校来てるじゃん」
そっちの方が規律違反じゃん。というと、鵺が小さく溜息を吐いた。


「そんなこと言っていいのかよ」

「?」

鵺が鞄をガサゴソあさって、何かを取り出した。


こ、これはっ!!!

「□○堂のみたらし団子っ!?一日限定10個しか販売されないっていうっ!!!」
パっと顔を上げると、ヘヘンと笑う鵺が居た。

「そんなにみたらし好きなら、買ってきてやろうかなぁって思ったんだけどよ。いや、いいんだぜ?文句いうなら、食べなくても」
「た、食べます!食べますぅうううう!!!ああ、鵺大好き!もう愛してるぜベイベー!!神だね、鵺ってば!」
「うわー・・・都合いいやつ」
呆れたように鵺が言うけど、あたしは差し出されたみたらし団子で目が一杯だった。

ああ、流石に限定品は格別だ・・・。



「で?」
突然、顔を覗き込んできた鵺に、眉間に皺を寄せた。

「で、って?」
「お礼は?」


・・・!こ、こやつ・・・激貧のあたしから、お礼を請求するつもりかっ!!

「・・・お、」

「お?」

「お礼は、あ・た・し☆・・・とか」

ダラーリ、と汗をたらした。―――沈黙が、痛いですよ、鵺サン・・・。
ポスン、と鵺があたしの隣に座った。


「じゃ、帰りにの家な」

「・・・鵺さんスケベー」
「うっせぇ、男は全部狼なんだよ」
「胸張って言うなよ・・・」

クスクス笑いながら、みたらし団子を食べた。





大丈夫だよ、だって君が一緒だから



( 怖くなんてない、辛くなんて無い、だって、そこに君がいるんだから )