「みーったらしだーんごはせーかいをーすーくうー」
作詞作曲、な曲を口ずさみながら、今日一人でお買い物からの帰り途中を歩いていた。

新しいCDに、みたらし団子。
多分、あたしのお小遣いはCDと、服と、みたらし団子がほとんどを占めてる気すらする。
(気じゃなくて、本当にそうなんだけど)


ちくちくとした嫌がらせはまだ続くけど、全然気にならなかった。
何ていっても、鵺が好きだし、あんまり可愛くないのは知ってるし。

まぁ、仕方がないよなぁ・・・と思う自分が居るわけで。



バァアアアン!

そんなことを考えながら歩いてると、突然大きな音がした。
目の前に大きな何かが、凄いスピードで過ぎていく。

「何をしているかお前はぁああ!!」
黒髪が、凄く寝癖でくしゃくしゃな人と、青色の髪の眼帯の子が右方面にあった、家から飛び出してきた。

あれ、ここどこ?
歌いながら考えながら歩いていたら、どうやら別のところに来ちゃったみたいだ。

うーん・・・どうやって帰るかなぁ。


「ほら、もう!イッキ君ってばぁ」
「だぁあ!!気持ちわるいわぁ!!」
目の前で抱きつこうとしている眼帯の子と、それから逃げようとしている黒髪の人が、取っ組み合いをしているのを、ボンヤリとあたしは見つめた。

どうやって帰ればいいのか、聞くにも聞けないなぁ・・・。
それよりも、あの青い髪の眼帯の子って、ひょっとして男の子、かな?

なんか、声がそんな感じがした。




「って、おい!人の通行の邪魔になってんだろうが!」
ペイっとその黒い髪の人があたしに気付いて避けてくれた。

さりげにいい人だ。

「あ、いえ。大丈夫です」
「ほんとだー!ごめんね?」
首をふると、青い髪の男の子が、ぺこりと頭を下げてきた。

「大丈夫なんですけど・・・あの、す」

「「す?」」



「スミナ教会って・・・ここから、どう行ったら、いいんですか・・・?」



この歳になって、迷子って、哀しい。鵺のところからだったら、多分家が分かるし。
ちょっと泣きそうになりながら言うと、ああ!と青い髪の男の子が頷いた。

「君迷子?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はい」
そんなにハッキリ言わなくても、いいと思います・・・。

「えーっと、スミナ教会は、」
「じゃあ、僕とイッキ君と、一緒に行こう!」
教えてくれた黒い髪の人の言葉を遮って、青い髪の男の子がうんうんと頷いて言ってきた。
「え、いや、教えてくれれば、それで」
「いいのいいの、僕とイッキ君のデートのついでだから!」
天真爛漫に笑う彼に断れずに、はぁ・・・と頷いた。

「じゃあ、お願いします」
「おう!まかせとけ・・・って、誰と誰がデートだっつの!」
「えー?僕とイッキ君の、デ・ェ・ト☆」


目の前で二人の取っ組み合いを見ながら、早く帰りたいなぁ、とボンヤリと思った。





迷子の副産物?



( いつもとは違う道を通れば、ほら、何かいつもとは違うことが起きるでしょ?)