「へぇ〜ちゃんっていうんだ。僕はねぇ、亜紀人って言うんだよ。で、こっちは南樹君」
「は、はぁ・・・」


樹君の手を繋ぐ亜紀人君に手を掴まれて(亜紀人君を挟んで3人並んでいる状態)、スミナ教会までブラブラと歩く。
向こう側で、樹君はもう、なんだか諦めたらしく、おう、とか、ああ、とか色々言ってる。

っていうか、何で手繋いでるんだろう・・・。


「そういえば、さっきからいい匂いが・・・」

ふんふんと鼻を揺らして、樹君があたしの方を見ながら言う。
あ、そういえば、みたらし団子ブンブン振ってたけど、大丈夫かな。

「あ、うん。みたらし団子。食べる?」
丁度3つ入りだし。

と差し出すと、どうも、といって、樹君がみたらし団子を食べた。
早業。


「イッキ君!僕も僕も!」
口をあーん、とあけて催促する亜紀人君に、あほか!といって樹君は亜紀人君の口に放り込んでいた。

この二人はとても仲がいいらしい(仲いいね、というと、YESとNOの答えが同時に帰ってきた)。




ちゃん、教会についたよ」
突然、亜紀人君に言われて、顔を上げると目の前にスミナ教会があった。

「あ、ほんとだ。ありがとうございました」
亜紀人君の手を離して、樹君と亜紀人君に向かって、頭を下げた。

うん、すみませんでした、迷子で。


「いいって。気にすんな」
「僕だって、勝手に着いてきたかったからついてきたんだし」
樹君がニカっと笑って、亜紀人君はふんわりと笑って、じゃあね、と手を振って、あたしは教会の方を向いた。


「どうせだし、よろうかな」
鵺いるかなー・・・まぁ、いなくてもエっちゃんとかコウちゃんとかと逢えばいいし。



「こんにちはー。ですけどー」
一回チャイムを押して、扉を開けて言うと、鵺の声と、ドタドタと走る声が聞こえた。


フニュ。


「・・・・・・・・・・・・・・・あれ?」
目の前が真っ暗闇になった。いや、なんだか顔に凄く柔らかいものが当たってるんですが。


「わぁ!この子が鵺君の彼女のちゃんなんだ!」
漸く離されて、見あげてみればでっかい胸。
・・・・・・・・・・・もとい、凄く可愛いお姉さん。

「ってめ、シムカ!!にチョッカイかけんな!」
「えー?いいじゃない。鵺君が紹介してくれなくて、さみしかったんだからぁ」

ぎゅーっと抱きしめられる。
いや、お姉さん胸当たってますって、いや、むしろ当ててるんですかね。


「シムカ!いいから帰れっての!」
「もう、しょうがないなぁ、鵺君は。じゃ、ちゃん、またね」
ひらひらーと手を振って、お姉さんは颯爽と去っていった。
ATつけてたから、多分鵺の知り合いなんだろうなぁ。

っていうか。
「胸すごいなぁ・・・。役得役得」
「お前アホだろ」
ベシっと頭を叩かれた。






なんだか出逢いの多い日は



( いやー、美人サンだったし、目の保養だぁ。―――お前、なんか親父くさい)