格言。
有名な彼氏を持ったら、誰かと歩くと噂になると心得よ。




昨日、亜紀人君と樹君と一緒に歩いてた(案内をしてもらってた)ところを見られてたらしくて、ゲタ箱の中には、浮気者!みたいな、紙が一杯だった。
こ、怖い・・・。
浮気者浮気者・・・とずっとA4の用紙に書いてあるのとか(凄く大変そうだ・・・)、でっかい文字のとか。

そんなのを全部ゴミ箱に捨てて、教室に行く。




「よ、有名人」

椅子に座ってると、鵺がやってきた。
鵺の通路だと丁度部室の前をとおるから、きっとあの浮気者とか、そんな言葉が聞こえたらしい。

「有名人になっても困るよ」
ひょっとして、気にしてる?と聞くと、鵺は笑顔のまま言う。

「大丈夫だっての。ATなんてやってると、ちょっとのことで噂が立つしな。噂なんて元来くだらねぇんだっつの」
「だよねー」

噂ほど、嘘くさいものはないというか。
うんうん、と頷いて、みたらし団子を食べた。


「・・・・・・・・?」
「?、どうした?」
「ううん、なんでもない」


突然、さっきまで食べてたみたらし団子の味がなくなった。
あれ?変なの。

残すのももったいなくて、味のしないみたらし団子を食べた。
うむむ、みたらし団子の食べ過ぎで、とうとう味覚障害になっちゃったとか、そんなオチ?

噛んでも噛んでも、味がしなかった。



「んー・・・今日早退します」
みたらし団子がおいしく感じないなんて、本当に病気だ。
「気をつけろよ?」
ポンポンと頭を撫でる鵺に、うん、って言って、それから鞄を背負って歩き出した。

風邪で、味がわからなくなったのかもしれない。
そう思うと、だんだん寒気がしてきた気もしないでもない(実は全然しないけど)。
胸がザワザワして、何だか気持ち悪い。


「うー・・・ん」
何でこんなのになっちゃったのかな。

グルグルと考えた。
別に、いじめなんて怖くない。誰にどういわれようと、平気だけど。

グルグルグルグル考える。
噂なんて、もともとくだらない・・・あれ?

浮気なんてするか、じゃなくて、噂が本当なんてことはあんまりないってことを、信じてるってことですか?


あれ?



・・・・あれ?





人の噂も四十九日



( 信じているのは、一体なんなの?)