でっかい塔の中に連れてこられると、鵺は凄く不機嫌そうな顔をした。
一体、ここに何があるのかは分からなかったけど、怒ってる鵺が怖かったので、スピさんの服を掴んだ。



「うわ、歯車すごーい・・・」
ポカーンと口をあけて見あげた先には、歯車がたくさんあった。

凄く、でかい。
普通、学校にこんなものあるだろうか・・・いや、ない。

「で、をここに連れてきて、どうするつもりだよ」
スピさんにくっついていたあたしを、引き剥がしてから、ギロリ、と巻上さんと、スピさんを睨んだ。
こわ!つーかこわ!!
「ほら、ちゃんが怯えてるよ。鵺君」
そういうと、少し鵺が落ち着いた。
あ、ありがとう・・・スピさん。
段々と奥に進むに連れて、鵺は機嫌が悪くなっていった。
うう、怖い。
鵺はこんな風に怒ったことは無かったのに、そんなに、何があるんだろう。




「あの・・・」

足が立ち止まったのを見て、あたしは口を開いた。
それに、巻上さんが振り返った。
「何?」
「調律者、って言ってましたよね・・・。調律者って、何なんですか?」

調律って、まさかピアノとかじゃないだろうし。

は知らなくていい」
ツン、と向こうを向きながら、鵺が怒ったように言う。
そういわれると、何だか意地がやってくる。

「何でよ」
「何でも」

絶対に知らないほうがいい、という鵺に、段々あたしは機嫌が悪くなってきた。
そりゃ、頼りにならないかも知れないけど、言ってくれたっていいのに。


「ほらほら、喧嘩しないで」
スピさんが、ニコリ、と笑って間に入った。
「スピさん・・・」
「鵺君。これはちゃんの問題なんだから、ちゃんには聞く権利があるんだ」
「・・・」
スピさんの言葉にも、鵺は黙って向こうを向いていた。
そんなに、聞いて欲しくないのかな。
あたしがもし、空を飛べてたら、言ってくれたんだろうか。
考えても、どうにもならなくて、あたしは首を振った。

。それじゃあ説明するわよ」

キュゥウ、と後ろで機械が小さく鳴り始めた。





それは始まりのOverture



( そんなにあたしって、頼りにならない? )