「な、によ・・・!なんで、そんな・・・」

分かってないって、何で、何が。


にだけは、この世界に触れさせたくなかったんだよ!」

危ないんだ、危険なんだ。

そう訴える鵺に、何かが、プツリと、切れた。


「―――触れるよ!危ない場所にだって、ズカズカと入り込んでいってやる!!」
!」

嗜めるように必死に、訴えるようにひたすらに、叫ぶ鵺を、今は無視して。
強く、強く鵺の手を握って、叫んだ。


「そこに鵺がいるなら、絶対に、関わってやるんだから!」


鵺の、あたしを傷つけないように、っていう気持ち、嬉しいよ?
そんな鵺の優しさは、あたしを大切に思ってくれてるってことだから、嬉しくて仕方が無いよ。
でも、それで鵺が傷つくなら、そんな優しさ、

「鵺が心配なの!悪い!?鵺が傷つくのがいや!あたしだって、鵺を護りたいの!!」

そんな優しさなら、いらない。
絶対に、絶対に、認めてやらないんだから!

「ニュースで、A・Tで危ないことに巻き込まれた人たちを見て、いつだって、鵺じゃないか、って心配してたっ!」

強く、胸倉を掴んだ。
ねぇ、鵺が心配してるばっかりじゃ、無いんだよ?

「鵺が怪我してたら、どうしよう、鵺が何かに巻き込まれたらどうしよう!そればっかり!」

鵺じゃないって知って、安心して。
鵺が怪我してなくて、安心して。
そんなの、全然知らないくせに。



「っ、好きだよ、鵺。好き、好きなの!―――だから、一人だけで傷つかないでよっ・・・!」



頼りないけど、まだ何も出来ないけど。

あたし、鵺が好きなんだよ。

ずっと、ずっと昔から、好きなの。

だから、一人で勝手に傷つかないでよ、大馬鹿!!



・・・」
鵺の、あたしの腕を掴んでいた手が、そっと背中に回された。
「置いていかないで、一人にしないでっ。鵺が傷つくなら、護られたくなんてない・・・っ」
鵺の肩に顔を埋めて、鵺の服が濡れて、泣いていたんだって気付いた。

「・・・ごめんな」
ポン、と優しい、思い出の中の鵺より、暖かい手が、あたしを撫でた。
「気付いてやれなくて、ごめん」
リズムよく叩く鵺の暖かい手に、目を閉じた。

「あたしだって、鵺を護りたいよ・・・っ」
、」


暖かい腕の中で、あたしの意識はぼやけて消えた。





君に聞こえるように大声で



( 君への思いを、精一杯に叫ぶから、聞いていて。 )