「おはよう!鵺」 台所で朝食を作ってた鵺に、いつもと同じように笑顔で抱きついた。 「あ、お、おう」 戸惑ったように言う鵺に、あたしも手伝うね!といって、皿を出す。 いつも通り・・・してるつもりだけど、実は内心バクバクだ。 鵺に、ごめん、なんていわれたら、多分立ち直れない、あたし。 「、」 「おはよーぬえー」 鵺があたしの名前を呼んだ瞬間、コウ君が起きてきた。 「おはよ、コウ君」 ぎ、ギリギリセーフ・・・。 何を言おうとしたか分からないけど、多分謝ろうとしたんじゃないかと思う。 「いっただきまーす!」 朝食はみんなで一緒に! そういう決まりがあって、朝食は必ず全員そろって食べてる。 「じゃあ、いってきます」 ランドセルを背負って、あたしは鵺の顔を見ないで、走り出した。 「おい、っ!」 後ろから呼ぶ声が聞こえるけど、適当に手を振って。 あたしは、少し走ったところで、足を止めた。 一番最後に出て行く鵺はA・Tで中学校に行く。 鵺が空を飛んでいくのを、隠れた場所で見てから、あたしは急いでホームに戻った。 「えーっと、鍵鍵」 ガチャガチャと音を立てて、鍵を開ける。 あけて、それから転がりはいるように部屋に入った。 ドサリ、と準備したのは大きな鞄。 ベリ、とお気に入りのメモを一枚破って、ペンを走らせる。 「えーっと、探さないでください・・・ってのは何だかありきたりだよね〜。心配しないで・・・でいっか」 それを机の上に置いてから、服や溜めてるお金、を引っつかんだ。 「やっぱりスピさんや、シムカちゃんのところじゃ、すぐばれちゃうよね・・・かといって、アキラ君たちのところにいけば、絶対に目立つし・・・」 うーん、と考え込んで、靴箱に入れてあるA・Tを履いた。 くるり、とホームを振り返る。 「・・・!いい女に帰ってきて戻るから、ちょっと待っててね!」 ぐっと力をいれて飛び立った。 |