「おーおー、怖い顔して、何のようや」
塔の見えるその屋上にいた奴を、俺は思いっきり睨んだ。

こいつがをたぶらかしたのかっ!(何か違う)



「単刀直入に言う・・・はどこだ」

「わいに聞いて、どないすんのや」

「後は、空くらいしか居ないからだよ」

シラを切る武内空に、スピットが言う。


つーか、何ではこいつと知り合いなんだっ!!!

「知ってるんだろう?」
「・・・知ってるっていったら、どないする気や?」

武内空の言葉に、血が昇る。

「連れ戻すに決まってんだろ!?」


「―――だあほぉ!!!」
「いっ!!!」

何時の間にか目の前に滑り込まれて、思いっきり頭を叩かれた。

痛ぇ!
「何しやがる!」
が出ていったんは、お前のせいやで?お前が連れ戻して、それで済むわけがあらへんやろ!」
「う・・・」

武内空の言葉に、ふとつまった。

「けど、話しなくちゃ何にも変わんねぇだろ!?」
だから、そのためにも、を連れ戻さなくちゃ、いけない。



「・・・話・・・。何の話をする気や」
「っ・・・!」

何も言い返せねぇ。
ぐ、と行き詰まって居ると、さらに武内空が言う。

にゴメン、とでも言うつもりか?そんなん、ただの傷を抉るだけや」
「それはっ!」
の気持ちを傷つけても、連れ戻したいんが、お前の望みか?」
「・・・・」


「―――空、そこまで」

何も言い返せなくなった俺に、後ろからスピットが口をはさんだ。

「確かに、空の言うことも一理あるけど、実際問題、ちゃんはまだ小学4年生だ。たった一人じゃ、何に巻き込まれてしまうか分からない・・・。それに、義務教育っていうものがあるだよ?」

忘れてた!
そうだよ、はまだ小学4年っつーことは、小学校はどうすんだ!?

「ま、大丈夫や。の安全はちゃんと確保しとる。鬼よりも怖い女神が、ついとるわ。それに学校なんてどうにでもなるわ」

「鬼よりも怖い、女神・・・?」

「そや。せやから、が自分で戻ってくるまで、ちょっと待ったりぃや」
「・・・」


は、お前が思っとる以上に、大人やで?」

ただ、唇を噛み締めた。





そう思っていたかったのは、僕の方



( 君はまだ子どもで、純粋で、何も知らないままでいてほしかった、なんて )