「Win !」 ヨシツネさんの、パチンとストップウォッチを止める音が響いた。 アタシの背後には、ヨシツネさん達の仲間が、死屍累々だ(あ、もちろん、戦だからね!?)。 「も強ぉなりましたな」 「本当?ベンケイさん!」 やったーと叫んで、ガッツポーズをする。 あたしが、ベンケイさんと、ヨシツネさんの所に来て、約半年が経った。 一回だけ、スピさんに、「大丈夫」ってメールしたけど、それ以外は、誰とも連絡を取らなかった。 あ、勿論、空さんとはちょっと取ったりはしたけど。 鵺には、一度も連絡をしてなかった。 「そやな・・・ベンケイ」 ヨシツネさんが、ベンケイさんを呼んで話し合うのを、見てから、適当にA・Tでその辺を滑った。 身長が、伸びた。 5cmも、グングンと伸びて、ベンケイさんは、精神状態が〜とか言っていたけど。 最初は全然ヘタクソだったあたしをからかっていた、タケちゃん(パソコンの向こうの人たち)も、あたしが50人抜きが出来るくらいになると、手のひらを返した。 ま、人間ってそんなもんだよね・・・。 と、小学4年生の身で、大人の利己的っていうのを、思い知ったわけなんだけど。 「ー!」 A・Tで考え事しながら、ちょっと滑ってたせいか、少し離れていたベンケイさん達に呼ばれて、あたしは、走って戻る 「何ー?」 「話がありますよって」 ヨシツネさん達のところに来たあたしに、ベンケイさんがニコリと笑う。 「免許皆伝・・・とまでは、いかへんけど・・・合格やっ!」 「へ?」 突然そう言われて、あたしは、ポカン、とするしか出来なかった。 「つまり、修行は終了ってことどす」 「――――え、え・・・ええええええええええええ!?!?!?」 ベンケイさんの言葉に、あたしは、大口を開けて叫んだ。 そんなのやだ!! だって、もっとたくさん教わりたいことがあったのに! 「まさか、あのヒヨッ子が、こないになるとは思わんかったわ」 と言って、ヨシツネさんが、死屍累々の人たちを見る。 「本当は、ここでうち等の後釜として育てたいくらいなんやけど・・・の目的は違うやろ?」 ベンケイさんに真っ直ぐ見つめられて、あたしは、ゆっくり頷いた。 あたしがここに来た目的は、全部・・・。 「東京帰って、雷の王をコテンパンにしてこな!」 ニカっと笑うヨシツネさんに、うっかり目の端から涙が出てきた。 あう・・・ヤバイ、泣いちゃいそう・・・。 「ヨシツネさん・・・ベンケイさん・・・。ありがとうございました!」 ガバっと大きく頭を下げて、涙を拭いた。 「気をつけて帰り、」 「どこに居ても、あんたはうち等の生徒やさかい。忘れんといてや?」 荷物を渡してくれたベンケイさんと、ヨシツネさんに、笑って大きく頷いた。 「はいっ!!」 |