「あ、あの・・・えっと」

目の前に座っている鵺を見て、言葉に詰まった。


今、いるのは、スミナ教会の裏にあるホームのリビング。
もう皆寝てるけど、あたしはリビングで鵺と向かい合ってる。


・・・・・・・・・・・・・・・・・うわ!
何か、凄く緊張っていうか、バクバクしてきた。


半年。

あたしは、鵺と一緒に居なかったんだ。


「あの、あたし、ね。あたし、」

何から言っていいのか、凄く迷って。
途切れ途切れの言葉しか出てこなかった。

「・・・ああ」

あたしの言葉に、少し小さい返事が返ってきた。

やばい、凄く怒ってる・・・?
うー!でも、負けるもんかっ!!


そう思って、声を無理矢理大きく張り上げた。


「あたし!もう、護られないくらいに、強くなったよ!」
口を開いたら、止まらなかった。

「京都の、ライダー50人抜きとかしたし!スピードも、技だって上手くなったし、背も伸びたし、嫌いなものだって食べれるようになったし、虫も平気になったし、あと、あと。あとっ!」
「お、おい、

鵺のあたしを呼ぶ声に、言い訳も、全部すっとんで。


「勝手に出ていってごめんなさいっ!」


じんわりと、涙が出そうになった。

待って!耐えて耐えて。
半年ずっと泣かなかったんだから、ずっと耐えて、頑張ってこれたんだから、あと、ちょっと。

あと、ちょっとだけ、出てこないで。


「ごめ、なさいっ。だから、嫌いにならないでぇっ!」

やだ、やだやだやだぁ!絶対にやだっ!
傍にいなくっても、怒られても、辛くなんてないから、だから、嫌いにはならないで。

耐え切れなくて(根性無し!)、それでも、見せたくなくて、俯いた膝に、ポタポタ落ちた。



「・・・ばかだな」
優しく頭を撫でられて、すぐ近くにあった、鵺に抱きついた。
あったかくって、優しくって、やっと、帰ってきたんだと思った。


「嫌いになんかなるかよ。―――おかえり、

ポンポン子どもみたいに、背中を叩かれて、ぐいぐい顔を押し付けた。


「ただい、まっ!ぬえ!!」


ごめんなさい、ごめんなさい、ありが、とう。

ずっと、嫌いでいてくれなくて。





お願いだから、嫌いにならないで!



( ごめんなさい、でもどうか、あたしを嫌いになったりなんて、しないで )