「あのね、鵺」

息が詰まった。
ドキドキ胸が鳴って、あまり上手く喋れない。

「ああ」

短く返してきた鵺の言葉に、顔が熱くなった。


「あたし、ね」
言葉が詰まって上手く出てこない。


早く言わなきゃ!
だって、そのために、鵺から離れて、修行して、ずっと頑張ってきて。
凄く勝手なことばっかりして。

でも、だから。

早く、言わないと。

「あたし・・・あたし、」
「うん」


「ぬ、鵺のことが、す、しゅきっ!―――あ・・・」


かっ、・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・噛んだっ!!!


「・・・・・・・・・・・・・・・・ぷっ!」

目の前の鵺の口から、空気が抜けるみたいな音。
「わ、笑わないでよ!」

馬鹿鵺っ!人の告白をっ!!
ちょ、ちょっと噛んだからって!

・・・・・・・・そりゃ、多分、逆だったら、あたしも笑うだろうけど。

「いや、だってしゅきってなんだよ、しゅきって」
「噛んだんだってばっ!もぉ!鵺!・・・・それ以上笑ってると、技決めるよ・・・?」

「俺が悪かった」

即答で返ってきた返事に、少し笑った。



「本当、だからね」
「・・・ああ」

一瞬にして静かになった雰囲気に、息を呑んだ。

「本当だからね」
「わかってる」

確認するように繰り返した。



「あたしは、鵺のことが、好きです」


「ああ」



耳を塞ぎたくなった。

分かってた、家に着いたときから・・・ううん、もっと前から。
気付いた。


「ごめん、な」


あたしの頑張りと、鵺の思いはイコールじゃないってこと。
家出するよりも、ずっと前から。





想いを馳せる、君に届けと口を開く



( この想いを伝える手段は、一番最初は、君に言うこと )