「かの、じょ?」 ヒクリ、とあたしの声は多分氷河期を下回ったような音になって外に溢れ出た。 ギリリと拳を握る。 目の前でショウが真っ青な顔をしていた(ちなみにショウはあたしの一個下だったりする)。 「う、噂だよ、噂・・・なんだけど」 「鵺に彼女がいるって・・・?」 ゴス、と近くにあった机を拳で思いっきり大破した。 彼女、彼女・・・ねぇ、鵺に。 散々告白を続けるあたしに断りもなく、彼女を作ったなんて・・・。 「ふ、ふふふ」 「・・・・・・?」 ビクリとショウが震えた。 あたしの家出から3年が経って、あたしは中学一年生になって、鵺は高校生になったんだもんね。 彼女くらいできたって、とうぜ、とう、とうぜ・・・。 って、何なのよぉそれ!!! 「ショーウ君v」 「は、はははははははいっ!!」 ニコヤカ笑顔でショウの名前を呼ぶと、大袈裟なくらいにショウが飛びのいた。 やっだぁ、失礼ねぇ、ショウ君ったら(うふふふふふふふふふ)。 脚を組んで、目の前で硬直しているショウを見つめる。 「ショウって高校にツテがあったよねぇ?」 「え、あ、うん」 ショウの言葉に、あたしは満面の笑みを浮かべた。 それであたしの言葉の意味を察したらしいショウがどんどんと青ざめていく。 「・・・・ま、まさか・・・・・・・」 ズリっと後ずさりをしたので、その後を追うように一歩前に出た。 ふふふふふふふふふふ、女の度胸を舐めてもらっちゃ困るんだから。 「制服、借りてきてくれるよね?」 断ったら・・・・・・・・・・・・・・・最高100人抜きしたあたしの技、食らわすけど。 A・Tを片手に微笑んでみると、ショウがブンブンと首を縦に振った。 「・・・・・・・・分かった。制服一つ、用意してもらうよ」 はぁぁ、と長いため息を吐いて頷いたショウに、あたしは待ったをかけた。 「何勘違いしてるの?」 「へ?」 おっかしいわぁ、おっかしいよねぇ? 「だって、もぐりこむんでしょ?」 「そうだけど、足りないものがあるでしょ?」 あたしの言葉にショウは首を傾げた。 「足りないも、・・・・・・・っ!!!」 まさかっ!とショウは驚いたように目を見開いてあたしを見つめてきた。 それに、あたしはニッコリと笑って頷く。 「一つじゃ、ショウの制服がないでしょ」 その言葉にショウは氷河期が訪れたように硬直してしまった。 |