「・・・」 ふと、気付いたときに鵺の声がして、あたしは振り返った。 すると、呆然と見つめる鵺に、ショウに・・・あと、あの女の子。 後ろで女の子はケラケラと笑っていて、フツフツと怒りが沸いてきた。 「ぐ、うう・・・」 と足元でうめき声が聞こえたので、とりあえず踏んづけておく。 「大丈夫だった!?」 ショウが急いで駆けつけてくれて(途中で数人踏んでいる気がするけど)、あたしの手をぎゅっと握った。 それに鵺もやってきて、ゴスンと頭を叩かれる。 「あほ!っつーか何しに来てんだよっ!」 「いっ!!」 ちょっとだけ涙目になって見上げると、怒った顔をしている鵺がいた。 「・・・ごめんなさい」 半ば倒れこむみたいに、あたしは鵺の胸に飛び込んだ。 高いところにいたから、小さく鵺が唸ったけど、聞かないふりしてあたしは抱きついた。 それから、思い切り力を入れる。 「ぐはっ!!」 ギリギリと抱きしめて、にっこり笑って鵺を見上げた。 「ぬーえv」 「・・・?」 鵺が苦しそうな顔であたしを見るけど、あたしはさらに力を込めた。 ふふふふ、100人抜きで伊達に鍛えてないんだからね。 「彼女がいるんだって?」 「ぐっ・・・あ?」 ギリギリとどんどん力を込めていく。 後ろでショウが真っ青な顔をしていた(全く、男の子は根性が足りない!)。 「噂なんだってねぇ?その後ろの女の子と」 「う・・・ぐぇっ!ちょ、ちょっとまてっ!!」 ギブギブギブ!とあたしの腕を叩く鵺に、力を抜いて少し離れた。 「何の話だよ、一体」 「鵺に彼女がいるっていう噂があるんだよ・・・あの子と」 首を傾げた鵺に、ショウが溜息を吐きながら言った。 それに、鵺と女の子が顔を見合わせて、ほんの少し沈黙が漂う。 「「名誉毀損だっ!!」」 ・・・・・・は? 同時に叫んで、あたしはわけがわからなかった。 「いいか、。100%誤解の誤解だ。第一俺の好みはあんな変態じゃねぇ!あいつ・・・圭はなぁっ!!」 ガシリとあたしの手を掴んで、本当に嫌そうに言う鵺に、あたしはポカンと見ているしかなかった。 「ひゃっ!」 鵺の嫌そうな様子を見てたら、突然後ろから抱きしめられた。 「うふふふふ〜」 振り向けば、圭っていう人がいた。 「から離れろレズ!!!」 ゲシリと鵺は躊躇いなく後ろの女の子を蹴った(・・・え?)。 |