、そこに正座しろ」
鵺の部屋に呼ばれたかと思ったら、あたしは床に正座することになった。

あー、痛いなー床。
第一説教とか言ってたけど、元を辿れば鵺が悪いんだからね。
あたしの想いにたいしても、有耶無耶だし、何も言ってくれないし。
断るならさっさと断ればいいのに。


「――で、危ない・・・って聞いてんのか!」
「もちろん!」
怒号を上げる鵺に顔を上げて、あたしは真剣な顔で言った。

鵺の顔がそうか・・・と安心した顔になった。

「聞いてない!」

「っておいっ!!!」
ずっと真剣な顔をしていたあたしに、思いっきり鵺の突っ込みが入った。


考え事してたから全然聞いてなかったんだもん。
まぁ、どうせ、危ないだろとか、何かあったら、とかそんなことなんだろうと思う。
これをしたのが、あたしじゃなくても。
コウちゃんでもエっちゃんでも、同じように怒るくせに。

「それよりも、何考えて来たんだか知らねぇけど・・・しかも変な噂の真偽確かめにくるし・・・」
あーもーわけわかんねぇ、と頭を抱える鵺を、あたしは。


ぶん殴った。

平手、なんて甘いこと言わない。


思いっきり・・・・・・・・・・・・・グーだ。


「ぐふぉ!」
真っ赤な跡が鵺の頬に残ったけど、あたしはギロリと鵺を睨んだ。

ものすごく、悔しくて。

「届かなかった・・・?」
?」

ものすごく、哀しくて。

「ずっとずっと言ってても、鵺にとって、あたしはずっと子どもなの?」
「おい、?」

ものすごく、ものすごく、辛くて。


「ばぁああああか!!!人がずっと告白してるのに、何が『何考えて来たんだか知らねぇ』よ!ざけんじゃないわよ、アホ!間抜け!鈍感!馬鹿!!」

「ぐふぉ、ぐぇ!ちょ、ぐぁ!」

思いっきり鳩尾等々急所を狙って蹴りを入れた。
むかつくむかつくむかつく!!


あたしは走って部屋に帰って、それからA・Tを持ってきて履いた。
「夜遊びしてやる・・・朝帰りしてやるっ!」
ずっといい子でいたけど、もうブチ切れた。

「ちょ、待て!」
追いかけてこようとする鵺をギロリと振り返って睨んだ。



「スピさんちにいってきますっ!」
朝まで帰らないから、と叫んで、あたしは飛び出した。





届け届け、声よ届け



( それでも届かないなら、あたしはどれだけの声を出せばいいっていうの )