意識し始めたのは、小学六年生になった年のことだった。


「ぬーえー、大好きー」
「あー、はいはい」

べたーっと後ろにくっついてるのは孤児院の一人の
京都まで家出をやらかした超心配の種だ。

まぁ、つっても最近は大人しいし、いい子だし、こうやって妹みたいなに大好きといわれるのは悪い気はしない。
むしろ、大歓迎だ(兄として)。



「・・・だったんだけどなぁ」
俺は盛大に溜息を吐いた。

「どーしたの?鵺」
後ろからが乗り出すように顔を出してきて、首を傾げた。


「ばっ、落ちるだろ!」
「落ちないよー!鵺にしっかり捕まってるもん」
そう言うと、は俺の首に腕を回してしっかりと抱きついた。
いや、これは可愛いじゃれ合いだぜ、兄と妹の。


「仕方がねぇなぁ」
というと、は笑う。


問題はこれじゃない、これじゃなくて。最近『兄として』とか『妹として』とかつけないと、可愛いとかいえなくなってきた、気がする。

イヤ、チガウンデスヨ・・・ソウジャナインデスヨ・・・ウンウン。
って、誰に弁解してるんだ、俺。


「ね、鵺、鵺!明日一緒に買い物に行こう?」
「んー、昼からならいいぜ?」

正直に告白しよう。


「じゃあ約束ね!」


俺は、を(恋じゃないけど)意識し始めている。




「恋ね。それは恋よ」
「ちげぇよ」
何で俺は圭に色々と暴露してしまってるんだろうか(だって怖ぇんだよ、こいつ)。

「何が違うっていうのよ。そうやって『兄として』とか『妹として』とかってつけないと可愛いっていえないんでしょ?」
「俺はそこまで言った覚えがねぇんだけどな・・・」

「んー、あたしってばエスパーだから」
何で知ってんだよ、というとサラリと流された(まぁ、こいつならエスパーでも納得できる)。



「とにかくそれは恋なのよ」

「だから恋じゃねぇっつってんだろ!」

は女の子としてみれねぇって小4の時にキッパリと言ってふってんだよ!というと、圭はチチチと指を振った。
「女の子は2年間で変わるものよー。ほらほら、考えてごらんなさい。小4の時とは全然違うでしょ?」

「そりゃ・・・そうだけど。だからって、赤ん坊の時から一緒にいたんだぜ?んな恋とかに――」
「甘いわね!恋ってのはいつ落ちるかわからないから恋なのよ」
どうしてもコイツは俺がに恋をしていると認めさせたいらしい。


「だから違うっつってんだろ。恋じゃねぇって」
そう言うと、今度はビシっと人差し指を向けられた。


「阿呆ね。恋じゃないって言葉は、恋をしてますと同義語なのよ!」

そんなこと聞いたことねぇよ・・・。





これは絶対に恋なんかじゃない



( たった2年間過ごしただけなのに変わっていったこと一つ一つに反応してしまうけど )