うっわ、相変わらずだけど・・すごいな、鵺。



それよりも、かけられてるあの空の王候補と、その仲間の人。
えっと、たしか子烏丸だっけ?その子烏丸の人たちは、ギャーギャー叫びながら飛び回る。
何か変なタラコ唇の人が走り出したのを見て、ニット帽の人に近づく。
そっと、持っていた氷で冷やした手を、首筋に当てる。


「うぎゃ!」
「お兄さん、凍らしてあげる」


ススス、とつめたい手で首筋を撫でると、かわいそうなくらいに真っ青になる。
お、なんか男の人なのに、肌綺麗・・・。
そっと自分の肌に触れる。
う、うらやましくなんてないからね!!
そう思いながら、氷をあてたりしていると、突然大きな声がさえぎった。

「お嬢さん!」

グルリ、とさっきまで幼女を追っていたタラコ唇の太った人が、突然方向転換してきた。
ヨダレをたらしながら近づいてくる彼に、息を呑んだ。


嫌だ。


あんなのに近づかれるのは、凄く嫌だ。
「し、仕方が無い・・・か」
もうすこしビビらせる予定だったけど、あたしは急いでニット帽の人から離れた。
鵺がこっちを見てたから、多分もう彼らの視界からは消えただろう。



「こ、怖ぇ・・・」
恋人いない歴=年齢とはいえ、ああいう男だけは嫌だ。
絶対に嫌だ。
何か、身体の細胞すべてが、あのタラコ唇を拒否している。

「迫られて良かったな・・・男に」
「嬉しくねぇよ、馬鹿やろう」
鵺の所まで行くと、ニヤニヤと鵺が言う。

酷い・・・。
どうせ迫られるなら、鵺がいいんだけどなぁ・・・とこっそり呟いた。
なんていっても、本人に言えるわけがない。

「じゃあ、そろそろ終わりにするか?」
鵺がパチパチっと音を立てた。
「了解」
それに、俺も立ち上がる。
大きな轟音を立てて、落ちる鵺と対照的に、俺はふわり、と軽い音を立てて飛び降りた。





幽霊の正体見たり・・・?



( こういうのだけは、絶対にいやなんです! )