「トリックスターちゃん!」
明るい、声が響く。

「どぅわ!」
突然、頭の後ろに現れた、凄くやわらかい感触に、叫んだ。
「って、やっぱりシムカか・・・」
あー、ビビった・・・というと、シムカがニコニコと笑う。

シムカは、ボッキュンボンの超美少女・・・やっぱり、鵺もこういう女がタイプなのかなぁ・・・。
ちらり、とサラシを巻かれた胸を見下ろして、目をそらした。

「そういえば、シムカ何かあったのか?」
と首をかしげて問うと、シムカはにっこり笑顔のまま、
「ううん、何も!」
と、当然のように言った。


「スピット・ファイアが、トリックスターが悩んでるみたいだよ、っていうから」
というシムカの言葉に、スピさんの顔が浮かんだ。
そういえば、月夜の晩に変なことを口走ったような気がしないでもない。
うわ、心配かけちゃったか・・・。

「あー・・・まじで?」
額を押さえながら聞くと、シムカはにこりと笑った。

「マジv」

やばい、ごめん、スピさん。
何か、いろんな人に迷惑かけてばっかりだなぁ、あたし。

「悪かったな、シムカ。大丈夫だって、スピさんに伝えてくれないか」
というと、シムカは一向に動かないまま、あたしの腕に抱きつく。


「やっぱり」
「は?」
ジーっとアタシを見つめて言うシムカに、首を傾げた。



「トリックスターちゃんって、女の子でしょ」



あれ?即バレ?

「な、何を馬鹿な。俺が女に見えるのか?」
「うん、見えるよ」
にこり、と笑うシムカに、後はない、といわれているような気になった。

「・・・・・・・・・・・・・・・ど、どうして分かったの?」
素の口調で聞くと、シムカはにっこりと笑った。
「雰囲気が凄く柔らかくなってきたし、同じ女の子だもん」
シムカの可愛らしさにふわーと、和みそうになるけど、はっと気付いた。

「シ、シムカ!他の奴らには内緒ね!絶対に!!」
そう言うと、シムカが驚きながら頷いた。





言った矢先、これですか



( 忠告はキチンと聞かなくちゃ、いけないんですね )