あたしは、ゆっくりとその山を見上げた。

アレンも同じで、あたしの隣でゆっくりとその山を見上げる。
山なのになぜか緑じゃなくて真っ白で、それでいてなんか変な人工的なボコボコがある山。

そのボコボコの数が多すぎて、よくわからないけど・・・とりあえず。


「「・・・うわぁーお」」


何、この大量のAKUMA、AKUMA、AKUMA。
見渡す限りのAKUMA。


「というか、この山なんか凄くガタガタしてない?」
「はい、あれば大量の十字架です」

「・・・十字架って、墓石?」
「・・・はい」


十字架=墓石=死人=嘆き悲しむ人=千年伯爵=AKUMA☆
ああうん、確かに千年伯爵が大好きそうな、嘆き悲しみの宝庫ですよね、ここは。



「って、そんな場合じゃないってばーっ!!」


何あの量!何あの量!!
数十なんてものじゃない、数百だよ、あれはっ!


「アレン、行こうっ!」
「うん!」

でも、壊さなくちゃ。
それが、暴発させて何かを壊すたびに「壊すなや馬鹿ー!」とママンにキャメルクラッチをされたあたしのなんかいろいろと意味がないから!!(あれ、情けなくないよ、うん)
ちなみに、ママンは今でもご健在で、よく遊びに行ってます。ママンとパパンはイチャイチャで、パパンは娘馬鹿です。


!」


「どぅわっ!!」
アレンの声に、あたしはAKUMAの攻撃をよけた。
と、思ってたらアレンが危ないってのっ!

「馬鹿、アレン!前見てっ!」
「わかってるよっ!」
「わかってないー!」

人に忠告して、自分が危機に陥らないでよっ!
そんな、馬鹿みたいに優しいところも大好きですけどねっ!!


「中心、中心・・・中心核・・・っと」

AKUMA達全部が見えて、それでいて全部のAKUMAが壊せる場所。
あたしが、爆発するにもっともふさわしい地点。


「アレン生きてるー?」
「生きてますよっ!」

普通の暴発だったらアレンが近くにいたら出来ないけど、イノセンス発動は違う。
アレンが怪我をしないうちに、早くしないと。


「っ見つけた!!」

「ギャハハっ!!コロシテヤ―――」


立ち止まったあたしに、後ろからAKUMAの声が聞こえたけど、もう遅い。



「イノセンス、発動!」

その声は、爆音に掻き消えた。





あたしにできること



( とりあえず――爆発、かな? )