走る、走る。森の奥へ、森の奥へ。
誰もいないところへ。

「っはぁ!はぁ・・・!げほっ・・・は・・・ふっ」


足いたーーーーっ!!!
心の中でそう叫んだ瞬間に、近くの木が爆発したけど、無視しておいた(なんかどんどん強くなっていってるけどねっ!)

第一、あたしは長距離は苦手なんだっつの!!
ふーっと息を吐いて、あたしは落ち着くように深呼吸を繰り替えす。


「と、とりあえず、ここまでくれば・・・」
「ここまでくれば?」
「アレンから逃げ切れ・・・」


逃げ切れ・・・あれ?

ナンカイマ、アレンサンノオコエガキコエタキガスルナァ・・・?


「僕から、逃げる?」


「るーーーっ!?!?!?!」


あ、ああ、あああ・・・あれ、あ、あれ・・・黒アレン様がご降臨なさったぁっ!!!
その頭から生えた角は、もう魔王様だよ、魔王様っ!!

パンっと葉がはじけて、鳥の飛ぶ音が聞こえた。





一歩、アレンが近づいてきて、あたしは反射的にアレンから一歩離れた。
瞬間、ぶわっとアレンの背中にあった黒いオーラが増大しました☆
とりあえず、本日が命日だと思われます。

「―――くも、」
「ア、アレ・・・ン・・・?」

「よくも人の告白を台無しにしてくれたよね?」

ひぃいいっ!!な、何この黒さっ!

「だ、って・・・」
ゆっくりと近づいてくるアレンに、離れようと必死に後ろに下がるあたし。
だめ、だめだ・・・早く、逃げないと。

「あ、あたし・・・」
だけど、視線がアレンから離れない。

爆発する見たいな心臓の音は相変わらずで(別の意味でもバクバクですが・・・!)、顔が熱い。
アレンが一歩近づくたびに、周りの木がはじけた。

・・・」

パンっと、今度はアレンのコートの端がはじける。
なのに、アレンは気にしないみたいにあたしに近づいてくる。

一歩、また一歩。
だめ、なのに。


「アレ・・・っ、こな、いでっ!」

恋しただけで、相手をこんなにも傷つけて、殺してしまうかもしれないなんて思わなかった。

「僕から――」

ドンっと、背中に木がぶつかった。



「逃げられるなんて、思わないでください」





逃亡者と追走者



( さぁ、いつこの鬼ごっこは終わる? )