「って、まるで神田の奥さんみたいよね」 「・・・は?」 おやつに作ってきたプリンを二人で食べながら突然呟いたリナリーの言葉に、あたしは思わず手を止めた。 一体全体何を言い出すかと思えば。 「どっちかっていうと、ユウに・・・じゃない、神田先輩のお母さんじゃない?」 奥さんなんてユウにいに片思いしている身からすればそりゃもう身に余る光栄ですけどね。 っていうか、ここが屋上でよかった・・・。 これを全クラスに何人もいるユウにいのファンに聞かれたら、大変なことになるんだよ。 「そうかしら・・・。?アレン君どうしてプリン食べながら震えてるの?」 リナリーがきょとんとしてアレンを見る。 いっつも重箱のお弁当を豪快に食べ、そしておやつまでペロリと食べてしまう白髪の少年は、少し前に転校してきた男の子である。 「・・・いや・・・だって・・・これ、神田のお弁当にもついてるんですよね・・・?」 「?うん。そりゃ、そのために作ったんだし」 そう答えると、さらにアレンがプルプルと震えだした。 あ、なんか理由わかった気がする。 「プリンを・・・!神田が・・・!」 あ、噴いた。 「あー・・・ものすごく笑いました。・・・あ、そういえば聞きたかったんですけど、はバカン・・・いえ、神田のどこが好きなんですか?」 今、さらりとバカンダって言おうとしたでしょ、アレン。 一応学年1位なんだけどなぁ・・・。 「そういえば私も聞いたことがなかったわ」 「あれ?そうだっけ・・・?」 あたしリナリーにも話したことなかったかなぁ・・・。 うーん、と考え込む。 ・・・っていうか、あたし、ユウにいのどこが好きなんだろ・・・。 「うーん・・・そうだなぁ・・・。傍若無人なところ?」 「僕別に短所を挙げてくださいって言った覚えはないんですが」 一応好きなところ、ってつもりなんだけど。 そう言うと、アレンが苦笑いをした。 「えっと、包丁持つといつの間にか手が血まみれになってるとことか、洗濯機に洗剤5,6杯は平然と入れるところとか、外では他人のふりするくせに、家の中だとちょっと甘えるところ?」 「すごく不器用なのね、神田・・・。甘えるって、どんな風に?」 「早くご飯作れとかって言いながら背中にのしかかってくるの」 「・・・すっっっっっごく気持ち悪いですね、神田」 うわお、言いきったね、アレン。 っていうか、小さいつ多すぎだ。 「あ、アレン。これ神田先輩に言わないでね。あたしが家で殺されるから」 いや、実際に殺されるってわけじゃないけどさ・・・アレンが部活でこの話題でユウにいをからかった日には、大変なことになるんだよー。 あの人ドSだから。 「女性に被害が行くからかい方はしませんよ。頭の中でそれを思い出して、神田を嘲笑う程度にしますから」 「黒いっ!!黒いよ、アレン!」 あ、ここにもドSがいた・・・。 「それよりも、それだけバカ・・・いえ、神田の短所を理解しておきながら、好きなもすごいですよね」 「んー、短所に関しては付き合い長いしね。それに神田先輩は見た目は一級品だからねー」 「見た目は、って・・・。神田ファンじゃないんだから」 困ったような顔で言うリナリーに、あたしはあははっと笑って首を振った。 「だって、外側も中身も揃ってユウにいだもん。両方無いとね」 その宝石みたいに輝かしい外側も、口を開けば一気に台無しにしてしまう中身も。 両方揃ってないと。 |