「・・・はぁ?」 先輩の馬鹿!と内心で何度も叫んでると、翼先輩がそう首を傾げた。 「だ、だって、翼先輩が呼んだ途端に、耳からなんかぞくぞくー!って下に降りてって、それから体中熱くなって、ふわふわして立てなくなって・・・!」 じわ、とさっきから浮かんでいた涙がさらに浮かんで、ぽたりと頬に沿って零れおちる。 、なんて呼ぶ翼先輩の姿なんて、何度も想像してきた。 なのに、本物は全くもってそれにかなわないほどの破壊力を持ってるなんて!! 体内組織からして翼先輩のことが好きすぎる! 「・・・・・・」 「な、なんでいきなり・・・!」 「・・・」 「ぎゃっ!」 ぽつり、とまた呟かれてぞくっと一気に脳天からつま先に向かって何かが走り抜ける。 さっきよりも近い位置で呟かれたそれは、ノイズもなにもなくクリアに耳に届くから、さっきよりも破壊力が強い。 「それ以上呼ばないでください!う、うう・・・なんか、変になる・・・」 うう、と唸ると、翼先輩がはーって深く溜息をついてしゃがみこんだ。 「・・・あんたの怖いところは、それを100%本気で言うとこだよね・・・」 「うぇ?」 何が?って首を傾げたら何故か翼先輩に怒られた。 ・・・チョップは痛い・・・。 「さん、もう大丈夫?」 「ん。ありがと、風祭君」 ようやく立ち上がれるようになったあたしに、風祭君が首を傾げてそう聞く。 ああ、これが女の子だったらすごく可愛いんだろうな・・・って・・・。 「つ、翼先輩はやらんからなぁ!!」 「へ?へ!?」 ガシっと肩を掴んで揺さぶったら、すごく不思議そうな顔をされた。 「翼先輩をしゅうどうの道にだなんて、連れ込ませないんだからぁあああ!!」 「誰が連れ込まれるか、この馬鹿っ!!」 「んぎゃ!」 ごんって頭を殴られた。 「つ、翼さん!」 そう考えてると、風祭君がさっきまであたしにぐわんぐわん揺さぶられてたのに意を決したようにそう言う。 「駄目ですよ!女の子を殴っちゃ!」 「将はだま、」 「いいの!風祭君!」 反論しようとした翼先輩をさえぎって、あたしはきっぱりと風祭君に言う。 うん、だってね、あたし。 「翼先輩になら何されてもいいの!」 |