「・・・最悪」 ああもう凄い最悪。 ミルキのフィギュアを全部壊したとしてもイライラがおさまらないくらいに最悪。 突然部屋に入ってきた不法侵入女を殺そうとしたら、やけに足が速くて逃げられるし。 しかもその女は妄想狂の上に気配だけはやけに少ない。 だけど雰囲気からあの女はかなりの素人ってことがわかる。 速度をあげたあの女を見失って、『円』で探そうかと思ったけど、面倒くさくてやめた。 どうせ誰かに見つかって殺されるだろうし。 俺が殺すまでもない。 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」 自分の部屋を開けて、一度閉めた。 ・・・凄く俺らしくないことしたな。 キルとかが見たら、多分顔を真っ青にしてガタガタ震えるんじゃないかってくらい。 とりあえず、もう一度開ける。 閉め・・・るのはやめておいた。 「・・・いるし」 俺のベットの上で堂々と大の字で寝てる女は、さっき突然俺の部屋に不法侵入してきた女だった。 いや、別に大の字で寝てるのも、女のくせにやけにいびきが大きいのもどうでもいいけど。 さっきまで殺されるって逃げてたくせに、何この安らぎよう。 ・・・ああまた、俺らしくない。 「ねぇ、ちょっと・・・」 なんだかこのまま殺すのも負けた気がして癪に障るから、とりあえず起してみる。 まぁ、起こしたところで殺すのには変わりないんだけど。 「んー」 けれど、その女は揺すっても起きない。 ゴロリと転がって、横向きに・・・っていうか、何でこっちに向かって転がるの? 「ちょっと、」 「うへー・・・豹耳イルミたん、もえー」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 何で俺の名前知ってるんだろう。 って、問題視するのはそこじゃない気がする。 何で豹耳?っていうか、何もえって(あのミルキが時々呟いてるような気はするけど)。 「猫耳キルアたんもえー・・・」 何でキルアのことまで知ってるんだろう。 っていうか、何でさっきから獣耳が出てくるわけ? ・・・ああもう、わけわからないんだけど。 「うへ、うふ、あは・・・」 「・・・起きないし」 その女は笑いながら寝てる。 なんて言うか、気持ち悪い。 「・・・ああもう、疲れた」 ベットの空いてる方に、音を立てて倒れこんだ。 |