「んまぁ!これもいいわね!」
「あの、キキョ、さ」
「これもいいわっ!ああでも、さっきのも!」
「キキョウさん!!」

さっきから押しあてられるウェディングドレスを押しのけて、あたしは叫んだ。
うん、何この大量のウェディングドレス!!


「何度結婚しないって言えばわかるんですか!」
「大丈夫よ!ウェディングドレスを着ればその気になるわ!!」
「なりません!!」

ビシっとキキョウさんの手をはねのけた。
あたしって、凄い度胸がついたなぁ・・・。


「よく考えてください、キキョウさん!あたし言っちゃなんですけど、運動神経悪いんですよ?殺しなんてもちろんできないですし、キキョウさんの大嫌いそうな弱い人間ですよ?」
「それはさしたる問題じゃないのよ。要はイルミの初のじょせ、」
「じゃないですからっ!!」

だから、何もしてないって言ってるじゃないですか!
本当にもう。
そう言っても、キキョウさんのウェディングドレスを選ぶ手は止まらない。

し、仕方がない。


「あ、あたしイルミのところにいってきまーすっ!!」

逃げるしかないっ!!
そう思って、あたしは叫んで飛び出したんだけど、出した名前が悪かったことに気づいたのは飛び出した後のことだった。


「やっぱり、イルミと仲が良いんだわ!おーっほっほっほ!!」




「・・・はぁ・・・。どんどん結婚計画が進んでいく・・・」

若干一名、黒髪ストレートネコ目は全然役に立たないし。
式場もなんかもう押さえてありそうな気がするよ・・・。


「あれだよねー、さくっと殺してくれたらそれで話がすんだはずなのに、何でこんなことに?あたしってこんな苦労性だったっけ?」
苦労人間なのはレオリオ君だけで良いと思うのですよ、ええ。


「あれ?姉?」
うーんと考え込みながら歩いてると、ふと声をかけられた。

「キルア。っていうか、姉はやめてってば・・・」
「やだ」

畜生、可愛いじゃねぇかこんちくしょうっ!!
ずーっと姉って呼ばれてるけど、可愛くて拒否できないんだよ・・・何気にミルキもミルキで好きキャラだからさ・・・。

「母さんから逃げてきたんだ」
響き渡る笑い声に、キルアが苦笑した。

「当たり前でしょ。イルミとの結婚は断固阻止しないと」
おーほっほっほっほという笑い声が、まだ響く。


「ふぅん・・・そこまでイルミ兄のこと嫌いなんだ」
「え?・・・いや、別に嫌いじゃないよ?」
というと、キルアが変な顔をした。


「じゃあ、イルミ兄のこと好き?」





馴染んでませんか?



( ちょ、ま・・・なんかこの空気っていうか空間っていうか、本当なじんじゃってる気が )