ぐすんぐすん、まるで悲劇のヒロインみたいに(ヒロインと名づけるにはあまりにもアレだったけれど)ソファに顔を埋めて泣きじゃくった。 だってとっても悔しい。 きっと想いを伝えてしまえば、沢田君は思いを寄せてくれた子がいたという事実に何かあったときに哀しむ人が増えるんじゃないかと想ってしまうだろう(きっと沢田君に何かあったら、あたしは泣くだけじゃすまないと思う)。 それは沢田君への負担になるんだ。 「よお、辛気臭ぇな、」 ガラリと窓が開いて、そっちを見るとリボーン君が居た。 「なに・・・?」 ゆるゆると顔を上げると、リボーン君はふ、と笑った。 「ツナが家を出るのは明日の15時だ」 「・・・それを、あたしに言ってどうするの?」 凄く、嫌な言い方だったのかもしれないけど、あたしはそう言っていた。 あたしの言葉を、リボーン君は、ただ黙って聞いてた。 「だって、あたしが好きだということを知ってしまったら、沢田君の一つの重荷になってしまうかもしれないのにっ!哀しむ人が増えてしまったということに、沢田君が一番哀しむのに」 それだったら、何も言わないほうが沢田君のためじゃない。 「第一、結局振られるんだから、結果はわかってるんだから、思いを伝えないほうがいいじゃない。伝えてなんになるっていうの。沢田君を困らせて、重荷を増やして、あたしも悲しくて、結局いいことなんて何もないじゃない」 伝えられれば、思っていればそれで満足、なんていえるような、あたしは女神様じゃないんだから。 「それで満足か」 冷たい言葉に、あたしは息を呑んだ。 「そうやってグジグジしてりゃ、何か変わんのか」 「な、にも変わらないよ、何も変わらなくていいんだよ」 だって、変えてしまいたくなんてないよ。 そう言うと、リボーン君はまた溜息を吐いた。 「どうしてお前はマイナスに考える。重荷になるか、ならないかなんてのはツナが決めることだ。お前はただ告白すればいいんだよ」 わかるか? というリボーン君に、あたしは首を横に振った。 「マイナスにしか考えられないよ。沢田君を待っているのはとても大きい闇なのに、さらに辛くなんてしたくない。あたしが好きだったことなんて、きっと重荷になるかどうかなんてわからないけど、支えにはならないんだよ」 そうして重荷になってしまうことが怖いんだ。 「本当にそれでいいのか。本当にツナが二度と帰って来なくなっても、てめぇは必ず後悔しないって言えんのか?」 「・・・・」 「考える前に動け、後のことなんて考えるな。後悔しながら生きる人生ほど重荷なものはねぇ」 ポタポタ、もう枯れきってしまったはずの涙が零れた。 ぎゅうっと心臓が鷲掴みされたみたいに痛い、痛い、凄く痛い。 「・・・どうして、リボーン君はあたしを応援してくれるの」 そう言うと、リボーン君は、やっぱり大人顔負けの笑顔でニヤリと笑った。 「もちろん、俺が気に入ったからに決まってんだろ?」 ツナのことを好きじゃなかったら愛人にしてやるくらいに気に入ってるぜ。 ニタリと笑うリボーン君に、あたしも涙のベタベタした顔で笑った。 |