「ぶへっ!!」

い、た・・・い。
向かってくる雲雀恭弥に、あたしは箒を構えて走り出した、瞬間。

思いっきり転んだ。


「・・・うー・・・すりむいたー」
ジクジクするよー、痛いよーてっちゃん。
目に涙が浮かんできた。
ううん、でも泣いちゃダメ!てっちゃんのためにも!



「・・・・・・草壁」
ポツリと、雲雀恭弥が呟いた。


「・・・う、は、はい!」
すると意識を失っていたてっちゃんが目を開けて、しゅばっと起き上がった。
敬礼までつけて。

「ねぇ、この子って運動できるの?」
「いいえ、全くもって出来ません。走れば必ずこけます」
あう、その通り・・・その通りですてっちゃん。


「ふぅん・・・つまらないな」
雲雀恭弥がトンファーを収めた。


すると綱吉君達が寄ってきて、大丈夫ですか、先輩と声をかけてくれた。
ごめんね、綱吉君、隼人君、武君・・・あたしには、それよりももっと大切なものがあるの。


「ま、負けた・・・」
ガクリと首をたらした。

だって、さっきまであんなに声をかけても起きなかったてっちゃんが、雲雀恭弥の声には起き上がってるんだもの・・・。
完敗・・・。



「てっちゃんへの愛では勝っても、てっちゃんからの愛は負けてしまったのね」
試合に勝って勝負に負けたんだ。
くぅっと込み上げてくる涙を拭った。

「?何の話だ?」
顔にハテナマークを浮かべてるてっちゃんの隣で、またまた雲雀恭弥が溜息を吐いた。


「だから、誤解止めてくれる?」
そう雲雀恭弥が言うと、てっちゃんがはっとしたような顔になった。

、まだ勘違いをしてたのか!俺は自分の意志で風紀委員に入ったんだ」
だからやめる必要はない、というてっちゃんを見あげた。
そうじゃないの・・・く、くやしい・・・あたし、あたし。



「あんな女顔の変態男に負けるなんてぇえええ!!」



うぅう、そうやっててっちゃんを誘惑したのね!
あたしの夢はてっちゃんと腕を組んで祭壇にあがることなのにっ!

溜息を吐いてる雲雀恭弥を睨んだけど、ベシっと思いっきり叩かれた。

てっちゃん・・・愛が痛い。





試合に勝って勝負に負ける



( てっちゃんへの気持ちなら誰にも負けないって絶対に豪語できるのにぃいいい!! )