「あれは・・・」 骸の後ろを追いかけるがベシャリとこけたが、骸は振り向くことすらせずに前へと進んでいく。 「何だか・・・」 そうしてが骸の腕に抱きつくが、その腕はバリっと剥がされた。 「可哀相だよね」 それでもなおついてくるに、骸は振り返り、不快感露に何かを言った。 けれど、はその言葉すら嬉しそうに聞いていて、全く持って効果がない様子に、骸は深く溜息を吐いた。 それから骸はまた気にしないように前に歩き出した。 「そういえば、何であのガキは骸に懐いたんすっかね」 隼人が不思議そうにを見た。 「確かに。骸って・・・言っちゃ悪いけど、あんまり好かれるタイプじゃないと思うんだけどなぁ」 特に初対面で。 と付け加える武に隼人はうんうんと頷いた。 確かにあまり子供に好かれたり、動物に好かれるというイメージは無く、むしろ近づいたら危険!、というようなイメージだ。 「・・・そうかなぁ」 「じゅ、十代目・・・?」 腕を組んで、うーんと考え始めた綱吉に、隼人は信じられないという顔をした。 そんな隼人に綱吉はだってさ、と切り出した。 「千種と犬と髑髏には懐かれてるでしょ?」 好かれてるし、という綱吉に武が「それは・・・」と言葉を失った。 「千種と犬と骸は、モルモットにされてたときにほとんど会ったこともないって言ってたしさ。だったらほぼ初対面でついていこうと思ったわけでしょ?髑髏だって突然現れた骸に延命してもらったりとかしたわけだしさ」 確かにつり橋効果、みたいな状況はあったのかもしれないけど、それでも初めて会って信頼に足るっていうのは凄いことだよ。 そう笑う綱吉に、隼人は反抗するように顔を上げた。 「で、ですが、あの変態っぷりを見てください!笑い方クフフなんっすよ?初対面はかなり引きますって!」 血を見て美しいですねとか言うし、あの男かなりの変態ですよ! 焦りながら言う隼人に、綱吉は苦笑した。 「いや、さりげなく失礼なこと言わないの、隼人」 ダメだよ、仲間にそんなこと言っちゃ、と綱吉が言うと、隼人は憮然そうに頷いた(綱吉以外に態度が冷たい骸には未だに認めがたいものがあるらしい)。 「まぁ、確かにかなり強い存在感っていうか、引き込む感じはあるよな」 やっぱり霧だから掴めねぇところもあるけどな。 そう笑う武に、綱吉も同意するように頷いた。 何時の間にか、ふと前を見れば骸の腕に抱きつくと、仕方が無さそうに嫌そうにしている骸がいて、綱吉は楽しそうに微笑んだ。 「ちゃんはここで保護していたいんだけど、いいかな」 「十代目のご意志なら従いますが・・・」 ねぇ、隼人。という綱吉に隼人は渋々頷いた。 そんな隼人に綱吉は満足そうに微笑んで、彼らを見上げる。 嬉しそうに骸を見あげるが目に入る。 何故が骸を見てあれほどまでに気に入ったのかなんてわからないけど。 「だったら骸を幸せにしてくれるような気がするんだよね」 きっと、と笑う綱吉に、隼人は不思議そうな顔をして、武はいつもの笑顔で笑い返した。 |