「あれ、あの茶髪の子と銀髪の子だ」 空に続く屋上(とか言うから馬鹿って言われるらしいけど)のドアをあけると、そこには三人の男の子がいた。 確か、昨日の窓ガラスを割っちゃった子だ。 「あ、昨日、の・・・」 ここで食べていい?というとはいどうぞ、とその茶髪の子は柔らかく笑った(可愛い!)。 「昨日はすみませんでした・・・あの、大丈夫でしたか?」 雲雀さんに連れて行かれて・・・と茶色の髪の子、こと沢田綱吉君が眉を寄せた。 「何が?」と聞くと、「トンファーで殴られたりとかしませんでしたか?」と沢田君が恐る恐る聞いてきた。 「大丈夫だよ。恭弥君はあたしのこと殴ったことないから」 そう言うと、恭弥君?と聞きなれなかったのか沢田君が首を傾げた。 「ああ、雲雀恭弥だから恭弥君。幼馴染なんだ」 いいでしょ、というと沢田君はなにやら凄く慌てた。 そんなに恭弥君って怖いのかなぁ・・・確かに言葉は酷いときがあるけど、優しいのに。 「いやーでも凄いよな、ヒバリ」 あははーと笑うのは山本君だ。 「でしょ!恭弥君はねぇ、あたしの自慢なんだ」 えへへーと笑うと、何だかお母さんみたいですよ先輩、と沢田君に突っ込まれた。 お母さんか、恭弥君を生んでみたかったかもしれないなぁ。 そういうと、沢田君は何だか変な顔をしていた(こらこら、恭弥君だって人から生まれてるんですよ?)。 「そういえば、どうして屋上に来たんっすか?」 ふと獄寺君が思いついたように言った。 あー・・・その質問来ると思ったんだよねぇ・・・。 「えっと、恭弥君と幼馴染っていうのがバレて、ちょっと敬遠されちゃいました」 恭弥君はお昼に仕事してるから、一人で食べようと思って。 そうしたら屋上に皆がいたんだよって言うと、皆が微妙な顔をしていた。 「・・・それでいいんですか?」 戸惑うように沢田君が聞いてきた。 「何が?」 「だって、そんな・・・」 キョロキョロとして躊躇いながら言う沢田君に、あたしは笑った。 「あたしね、恭弥君のこと大好きなんだ」 いつだって恭弥君はあたしのヒーローで王子様で、キラキラ輝いていた。 あたしの、って名前はたくさんの名前の中に埋もれて、ひょっとしたら誰にも知られないまま消えてしまうかもしれないけど。 雲雀恭弥って名前は特別で、いつだってどこにいたって、キラキラ輝いてるんだよ。 だから、あたし恭弥君が大好きで大好きで、仕方が無いの。 「学校で恭弥君とお話ができるようになって幸せだし、他の女の子のお友達よりもずーっとずーっと恭弥君の方が大切だから平気なんだよ」 それほど人を好きになれるほうが大切でしょう? すると沢田君がはにかんで、そうですね、と言ってくれた(きっと、君も勇気が無いだけで、そんな恋をしてるんだよね?)。 『緑たなびく並盛の 大なく小なく並がいい』 話していると、突然携帯が鳴った(恭弥君からメールだ)。 「恭弥君が呼んでるから行くね」 じゃあね、と手を振ると、沢田君たちも振り返してくれた(あれ、一人小さな子が増えてる気がする)。 |