「聞いてるんだけど・・・一体何してるわけ?」
答えないと、殺すよ、といって恭弥君は近くにいた男の人をトンファーで倒した。


「っ、おい!やれっ!!」
と、あたしの上に乗ってた男の人がどいて、恭弥君に飛び掛っていった。
出される攻撃をものともせず避けて、恭弥君がドンドン人を倒していく。

凄く格好いいなぁ、恭弥君。




「・・・、大丈夫」
そっと、恭弥君があたしのシャツの破れたところに触れた。
「うん。破かれただけだから、何もされてないよ」
セーラーじゃなくてよかったねぇ、と笑うと馬鹿、といって肩に学ランをかけてくれた。

「何誘拐されてるんだよ、馬鹿」
そう言って、ぎゅうっと恭弥君が抱きしめてくれた。

ねぇ、やっぱりあの時みたいだね、恭弥君。
ごめんね、恭弥君。
怖い思いをさせちゃったよね、恭弥君。


「ごめんね、恭弥君」
「謝らなくていいよ」
が悪いんじゃないんだから、といって恭弥君はもっと強く抱きしめてくれた。

「心配かけてごめんね」
「・・・が、死ぬかと思った」
「ごめんね、恭弥君」
あたしも一緒に抱き込まれてた腕を伸ばして、恭弥君の背中に回した。



「死なないよ。ずっとずっと傍にいるからね」


恭弥君に大切な人ができて、一緒に歩ける人ができて。
凄く寂しいけど、恭弥君の傍にいる人ができるまで、ずっとずっと。


「大好きだよ、恭弥君」
ぎゅーっと抱きついた。

ずっとずぅっと大好きだからね、恭弥君。
あたしが傍にいるから、泣いてもいいよ、大丈夫だよ、恭弥君。
あたしは、恭弥君を置いて。


「死んだりなんてしないから」
絶対絶対死んだりなんてしないよ、というと恭弥君が馬鹿、と笑った(笑顔がとても素敵)。


「死んだらただじゃおかないよ」
そう言って、帰ろう、と手を伸ばしてくれた恭弥君に、あたしは笑った。




「ねぇ、恭弥君」
手を繋いで、夕焼けの中(いつのまにこんなに時間が経ったんだろう)を手を繋いで帰った。
「何?」
影が長く伸びて、あたしは目の前がグラグラとしてきた。


「背中、痛い・・・」
そう言うと、あたしの視界は一気に白くなって、恭弥君の、
!」
って叫ぶ声を最後に、あたしの意識は消えてしまいました。





貴方は私の救世主



( 背中の怪我は、どうやら全治二週間という大怪我だったそうです )