ピンポーンとチャイムが鳴って、やってきたのは見たことの無い人だった。 濃い、藍色のような髪に青の目と紅の目の二つの色をもつ人。 皆美形だけど、一際違う雰囲気を持った人だった。 「骸!」 お父様が少し笑って歩いていく。 あたしはただ、ボンヤリとその人を見つめていることしか出来なかった。 「山本武から情報提供されましてね。これが君の娘ですか」 ということは11代目ですね、と笑うその骸さんという人があたしを見て、眼が合った。 吸い込まれてしまいそうなほど、六という字が浮かぶ目は綺麗で、あたしは柄にもなくドキドキして何も話せなかった。 こっそり深呼吸してやっと落ち着いた。 (何か、凄く心臓に悪い人だなぁ・・・) 「お父様、えっと、この人は?」 「え?あれ?知らないの?」 あたしの言葉に、お父様は不思議そうに首を傾げた。 「霧の、守護者の人?」 見てしまうとまた喋れなくなっちゃいそうで、あたしはなるべくお父様を見ながら聞いた。 「うん、そうだよ」 「お父様の話ではよく聞くけど、家にきたことないから」 この人が霧の守護者の骸さん・・・。 またじっと見つめてしまって、あたしは何も言えなくなってしまった。 「初めまして、僕が渋々霧の守護者を務める六道骸です。確かに、君は綱吉君に似ていますねぇ」 骸さんがジロジロと結構近寄ってみてくるものだから、あたしは顔が熱くなってきた。 「おい、なんだよ、渋々って」 ぶすっと膨れて言うお父様に、骸さんは戯けるように肩を竦めた。 「僕は綱吉君には忠誠を誓ってますが、ボンゴレ自体に組み入れられるのはあまり好んでいないということですよ。第一僕マフィア大嫌いですし」 ね?と首を傾げる骸さんに、お父様ははぁと溜息を吐いた。 骸さんは本当に霧みたいな人だ。 血筋のせいなのか、なんだか知らないけど、骸さんが現れた瞬間にゾクリと寒気がした。 たしかえっと・・・超直感、だったかな。 他の人とは全然違う人。 真紅の瞳はルビーよりもずっと綺麗で、血みたいに真っ赤。 恐怖はあるけど、骸さんがこっちを見るたびに、顔が熱くなってしかたがなかった。 「ちゃん、大丈夫?」 ついつい俯いてしまっていると、京子さんがあたしの顔を覗き込んだ。 後ろの方でお母様も心配そうに見ていてくれた。 それでも、真っ赤な顔は隠し切れなくて、あたしはうやむやに笑って頷くしかできなかった。 どうしよう・・・さっきから心臓がずっと煩い。 なんだかそれは、まるで。 |