「骸」 お茶を取りに来ました、とやってきた骸を、綱吉が引き止めた。 数人帰宅したのか、現在リビングにいるのは数人だった(ちなみに、隼人がずっといるのは毎度のことなので気にしない)。 「おや、どうしました?綱吉君」 「どうしました、じゃないだろ」 ちらり、と綱吉の目線が二階を向く。そこには、今骸を待っているがいる。 その視線の意味にわざとらしく肩を竦めた。 「中々賢い少女ですよ。君の未来の娘にしては。・・・まぁ、あれが11代目なら躊躇なく乗っ取れそうですけど、クフフ」 「・・・やめろよ?」 「勿論冗談に決まってるじゃないですか」 はぁ、と綱吉は溜息を吐いた。 ちらりとコップとお茶を準備している骸を見る。 多分・・・いや、絶対には骸が好きだ。 超直感どころじゃなくて、見てたらすぐわかる(何か凄く分かりやすい)。 カランカランと音を立てて、氷がコップの中に入っていく。 なんというか、骸は、酷く鈍い。 愛情を与えられるっていうことに慣れてないせいかなんだかしらないけど。 (憎悪とか殺気とか、他人のことには鋭いくせに) まったく、どうしようもないよなぁ・・・。 綱吉は深く深く溜息を吐いた。 「それじゃ、僕は上に戻りますね」 そう言って、骸はリビングを出て階段を上っていく。 第一、骸を仲間に引き入れるのも大変だったんだっ! と綱吉の頭はどんどんと少し前のことを回想していった。 雲雀さんと獄寺君は凄く嫌がるし(トンファーで殴られかけるし)、リボーンの説得は大変だし。 本当、死なずに、今は和解してくれてることが本当不思議で仕方が無い。 骸と雲雀さんの仲介には、ハルと山本と笹川先輩っていう天然な人たちが間に入ってくれたんだけど。 本当、怒涛の日々だった。 危険な真似はするなっていっても、全然止めてくれないし。 むしろ、なんで心配されるのかすら不思議そうだったし。 そんなわけで、とにかく、骸は鈍いのである。自分に向けられる好意の感情に。 「も苦労するんだろうなぁ・・・」 そうか、やっと今しっくりときた。 「頼まれたらいやっていえない感じの性格だし、苦労人だし」 別に疑ってたってわけじゃないけど、今ならスッキリする。 「・・・は確実に俺の子だよ・・・」 だから、がんばれ、・・・。 |