「ぶ、か」 思わずあたしの言葉は途切れて変な言い方になってしまった。 「こっちが、」 「城島犬れす」 「・・・柿本千種」 「クローム髑髏です」 骸さんがニコリと笑うと同時に口々に3人の人が自己紹介をした。 突然やってきた骸さんの部下だっていう人は、城島犬さんと、柿本千種さんと、クローム髑髏さん。 犬さん、は何だかちょっと変わった口調で、まぁ、それはいい、うん。 千種さんは、小さくメンドイって呟いて、犬さんに向かって溜息を吐いてた。うん、それもいい。 「あの、骸様・・・この子は?」 骸さんの隣で、肩につくかつかないかの骸さんに似た髪型をした髑髏さんが首を傾げた。 かわいい。 同性のあたしでも、ちょっとトキめいてしまいそうなほどに可愛い女の子で、胸も大きくてスタイルがいい。 様ってつけてる辺りで、妹じゃない、よね。 「彼女は将来の綱吉君の娘のですよ」 「初めまして」 骸さんに紹介されて、髑髏さんが頭を下げた(もちろんあたしも下げた)。 よく出来ました、って骸さんが親しそうに髑髏さんの頭を撫でた。 恋人、なのかな。 って、なんであたし最初にその可能性を考えなかったんだろう! だって別に顔で好きになったってわけじゃないけど、その飲み込まれそうな雰囲気っていうか、それのせいなんだけど。 ともかく、すごく顔格好いいし、優しいんだから、恋人が居ないなんておかしいくらいなのに。 浅はかだったなぁ、あたし。 そうだよね、むしろいるほうが普通なんだよ。 お父様の話では聞いたことは無かったけど、あんまり深く聞いたわけじゃないから恋人がいたっておかしくないんだよね。 同じ髪型なのだって、ひょっとしてペアルックなのかもしれない。 (髪型を同じっていうのはどうかとちょっとだけ思ったけど) 骸さんの隣に立ってても全然見劣りしないくらいのかなりの美少女だし、スタイルすごくいいし、まさに、お似合いっていうか。 チンチクリンなあたしと立つと、多分兄妹みたいにしか見えないのかもしれない。 (どうして、お母様みたいなスタイルに育たなかったのっ!) そういえば、抱きついてもニッコリ笑うだけで、別に顔が赤くなったこともなかったよね、うん。 恋人がいるから、それ以外は対象外、だったんだろうなぁ。 どんどん考えるたびに惨めになっていく気がして、胸の奥で何かが詰まって呼吸が少し苦しく感じた。 「?」 お父様の声がして、あたしははっと思考の海から浮き出た。 顔を上げたら、笑顔で話をする骸さんと髑髏さんがいた。 「き、気分悪くなった、みたい・・・だから」 ちょっと苦しい喉に何とか空気を止めこんでお父様に話した。 「上あがるね」 視線を落として、お父様の顔もお母様の顔も骸さんの顔も髑髏さんの顔も、みんなの顔を見ないように、あたしは俯いたまま階段を上った。 |