もうすぐ、タイムリミットがやってくる。



段々と存在の薄くなってくのを感じて、あたしはお父様に向かって笑った。
「お父様、ありがとう」

たくさんたくさん協力してくれて。
いつだって、お父さんはあたしの味方でいてくれて。
本当に、ありがとう。


今度は、お母様の方を見た。
少し哀しそうな顔をして笑ってくれるお母様に、あたしも笑みを返した。

「ありがとう、ハル、さん」
結局名前を言いなれるなんてことは出来なかった。

だって、いつだって傍に居てくれて支えてくれる、貴方は何時だってあたしのお母様だから。
大好き、二人とも。


ゆっくりと、骸さんを見て、笑ってくれる骸さんに、あたしも笑った。

20年後に帰ったら、ランボにありがとうって言おう。


貴方のおかげで、あたしはこんなにも好きな人に出会えた。



「ありがとう。20年後、また逢おうね」

お父様、今度は貴方の本当に娘として。

お母様、今度は貴方のお腹に宿る命として。

骸さん、今度は私が生きている未来で。


静かにあたしは白い煙に包まれて、意識を失った。



ちゃんっ!」
泣きそうな声が聞こえた。

「お、かあ様・・・?」
ぼんやりと意識はまだ遠い。
涙でグシャグシャな顔であたしを見てくるお母様が、そのっまニッコリと笑った。

「はひぃ!良かったですぅう!」
ああ、そういえば20年前はあたしはまだ生まれてないんだから、お母様には消えた見たいに見えるんだよね。

「それにしても、20年後に来てるのは分かってるんだから、そんなに心配しなくても・・・」
そう言うと、お母様は涙目で顔を上げて叫んだ。
「それでも心配なんです!」

そういって泣きつかれた瞬間、ゾクリと背中に悪寒が走った。
同時に、ピンポーンとチャイムが鳴り響いて、あたしは玄関に走った。

ガチャリ、と扉が開く。
ああ、やっと、きた。

胸一杯に溢れた。



そこには、襟足が肩よりも伸びて、あのときよりもすごく大人になっていて、右手に紅い薔薇を持った、

「骸さん」
迷うことなんてなくて、にっこりと笑う彼に飛びついた。



「Ciao.Amore(こんにちは、愛しい人)」




Questo incontro e la necessita



( 今日という日に、祝いの花束を携えて、紡がれるのは愛の言葉 )