「・・・は?」 突然シーンと食堂が静まり返ってしまって、あたしは聞こえなかったのかな、と首を傾げた。 「えっとね、あたしのお腹の中に、恭弥君とあたしの子どもが出来たんだよ」 ガタン。あたしがそう言うと、突然恭弥君が立ち上がった。 その顔は、誰から見ても明らかなくらいに真っ赤だった(可愛いなぁ、もう)。 「おめでとう、!」 「おめでとうございますさん!!」 きゃー!と喜んでくれるビアンキとハルとハイタッチをして、それから固まって動かない恭弥君の手を握った。 「恭弥君、嬉しい?」 「・・・嬉しくないわけがないだろ、馬鹿」 本当に馬鹿じゃないの、という恭弥君に、あたしは顔が緩んで仕方が無かった。 「これが『とってもいいこと』だったんだ」 振り返ると、そこには綱吉君がいた。 「うん、そう。『とってもいいこと』でしょ?」 というと、綱吉君が確かに、と頷いてくれた。 それからどんちゃん騒ぎになってしまった後ろを置いといて、恭弥君の方を向いた。 何も言わない恭弥君の手をそっとあたしのお腹に沿わせて、その上からあたしの手を重ねた。 「うれしいね、恭弥君」 「・・・・・・うん」 「新しい命が、ここにいるんだよ」 「うん」 「辛いことは慰めてあげて、嬉しいことがあったら一緒に笑ってくれる存在が、もう一人増えるんだよ」 嬉しいね、恭弥君。 そう言うと、恭弥君はまた頷いてくれた。 「いっぱいいっぱい愛してあげようね。いっぱいいっぱい抱きしめてあげよう。こんなにたくさん素敵な人達がいて、あたしを愛してくれる恭弥君がいて、幸せになれないはずがないもの」 そうしてあたしは恭弥君との命を生み出せるんだよ。 それはとってもとっても幸せなことなんだよ。 「そう、だね」 少しはにかんで言う恭弥君に、あたしは思いっきり抱きついた。 凄く嬉しいんだよ、恭弥君。 恭弥君があたしを愛してくれて、あたしが恭弥君を愛して。 その命をあたしはお腹に宿すことができた(愛の結晶って、本当なんだね) あたしが恭弥君の子供を産むことができるなんて、なんて幸せ! 「ねぇ、恭弥君。あたしは護られながらでも、それでもたくさんの命を殺してしまったけど。でもね、恭弥君。そんなあたしのお腹の中に来てくれた子のためにも、頑張るよ、あたし。奪ってしまったからこそ、守りぬこう。一緒に、護ってあげよう」 「一緒に、だからね」 ぎゅ、と一際強く抱きしめられた。 あ、 「結婚しようか、恭弥君」 「それって、僕の台詞じゃないの?」 ムスっとして言う恭弥君の頬にちゅ、とキスをした(音つきでね!) 「大好きな人に大好きだから一緒に居ようっていうのはどっちだっていいんだよ」 だからね、恭弥君。 |