「ほら、こんな重たいもの持っちゃだめでしょ」
と、綱吉君に運んでいた書類を取られてしまった(その厚さ、約10cm)。

「こんな重いもん持つんじゃねぇ」
と、リボーン君に運んでいた武器を取られてしまった(それはマグナム)。

「ほら、危ないだろ」
と、武君に階段をお姫様抱っこであげられてしまった(たったの10段)。

「妊婦が無理すんな」
と、隼人君に外に行く仕事を取られてしまった(たいしたことのない仕事なのに)。



皆優しいね。
そりゃ、初めての妊婦さんだし、不安だし、何もかも新鮮だし、一時期悪阻もあって、ゲーゲー吐いてたもんね(今はもう無いけど)。

優しいね、ありがとう。



でもね・・・いい加減にしないと、
「逆にイライラするっちゅーの!!!!」


あたしを動かせろーーー!!!




「まぁ、過保護すぎるっていうのも問題だね・・・それよりも、山本そんなことしたんだ・・・後で咬み殺す(ぼそり)」
「だよね!あと、咬み殺しちゃだめ」
そう言うと恭弥君はち、と舌打ちをした(止めなかったら本当に咬み殺してたよ、恭弥君)。

ベットの上にコロンと寝転がって、左手の薬指にある指輪を見た。
銀のシンプルな(本当に飾りッ気すらないような、でも凄く高かった、らしい)指輪をみて心が綻んだ。
外に出れなくても、悪阻が辛くても、この指輪を見ると、あたし恭弥君の奥さんになったんだなぁって嬉しくなって気にならなくなった。


・・・でも、運動はしたいなぁ。

でも、皆に優しい綱吉君とか、女の子にはとても優しいリボーン君とか、天然親切な山本君とか、意外と優しい獄寺君とかが止めるんだろうなぁ。
優しくしてくれるのはとっても嬉しいけど・・・でも、動きたい。


「・・・、温水プールは」
「え?」
突然、本を読んでた恭弥君が、ほら、と本の中身を見せてくれた(妊娠全書だって!)。

「水泳なら妊婦用の運動とかあるし、綱吉に言って屋内の温水プールで遊んだら?」
まぁ、僕もついてくけどね。
という恭弥君に、あたしの眼はきっとキラキラと輝いていたんだろう。


「綱吉君に許可貰ってくる!」
「走らないでよね、こけるから」
思いっきり扉を開けたあたしに、恭弥君が付け加えた(走ったらこけるのは本当)。

プールかぁ、最近行ってなかったから久し振りだなぁ。


皆を誘おう。
恭弥君は決定として、ハルにビアンキに綱吉君に隼人君に武君に了平君、リボーン君。
骸君と髑髏ちゃんと犬君と千種君はまだ帰ってきてないらしい。
水着はこの間ハルと買ったあの白の水着にしよう。
あたしはそんなことを考えながら、綱吉君の部屋の扉を開けた(隼人君の声がする)。

「ねー、綱吉君」
二人で話をしてたみたいだから、コンコンってノックの次にすぐにあけた。





温水プールに行きませんか?



( 皆優しくって大好きだよ、大好き、なんだけどいい加減にしろやぁあああ!!! )