「・・・でも、心配だからね、うん」 ブツブツとこっそりと呟いた。 沢田君との交際は認めるけど、沢田君がハルに相応しいかどうかは調べさせてもらおうと思う。 相応しいって言っても、頭のよさとかあんなんじゃなくて(そんなものどうだっていい)ハルを幸せにしてくれるかどうか。 不幸せにするような人だったら(ハルがそんな人を好きになるとは思えないけど)絶対に駄目。 嫉妬感情とかじゃなくて、友人として許せない。 (友人のラインは、絶対に超えない) 「と、いうわけで、ハルは沢田君のどこが好きなの?」 明瞭に聞かせていただきましょうか、ハルちゃん。 ニッコリと笑ったあたしに、ハルははひ?と首を傾げて、それから言葉を飲み込んで顔を紅くした。 可愛いなぁ・・・とと、友人のライン友人のライン。 「はい、答える答える」 そう突っつくと、ハルは観念したようにちょっと頬を染めたまま話し出した。 「ツナさんは優しい人なんです」 嬉しそうに、綺麗にハルは笑った(ズキンと少しだけ胸が痛んだけど我慢した)。 「ランボちゃんのことだって、色々言いながら最後にはきちんと世話してあげてますし」 「・・・それって押されたら嫌といえないタイプじゃないの?」 ゲンナリとしていったあたしに、ハルは苦笑しながら「そうともいいます」と笑った。 「それに、前色々あって橋から落ちそうになった時、ハルが落ちます!っていったんですけど、ツナさんが怒ってくれたんです。だからってハルが落ちてもいいってわけじゃない。って」 一つ一つ、言葉を噛み締めるように言うハルに、あたしは息を呑んだ。 恋をする女の子、なんてものじゃない。 「実は一生懸命で熱血で、でも照れ屋さんで、仲間思いで」 ダメツナなんて呼ばれてるらしいですけど、ハルにはそう思えないくらいにたくさんいいところがあると思うんです。 その笑顔は、人を愛してる女性の笑顔だ。 ズキズキと胸の奥が痛んだ。 見返りを求めない愛を注ぎつづけるハルに、与えるだけで幸せそうな顔をしてるハルに、もっと幸せになってほしい。 だって、絶対に幸せに限りなんてあるはずがないんだから。 笑っていてくれるように、あたしは頑張りたい。 「ハルは、ツナさんが大好きなんです!」 あたしは、ハルの笑顔のために。 嬉しそうに語るハルに、あたしは嬉しくて、同時にすごく辛くて。 でも、ハルが幸せになって沢田君と恋愛してくれたら、きっと諦めがつく。 良かったね、って祝福ができるんだ。 「そんなに好きなら告白したらいいのに」 ずっとこんな思いをしていたくないっていう気持ちも含めていった。 想像以上にこの気持ちはほろ苦くて痛い。 「駄目ですよ!」 ボンヤリとしてしまっていたあたしに、ハルが叫んだ。 「何で?」 「ツナさんには京子ちゃんっていう好きな人がいるんです!」 だからだめなんです!と叫ぶハルに、あたしは頭の中がヒヤリとなっていくのを感じた。 京子、ちゃん。 ・・・・へぇ。よーし、沢田ぁ。歯ぁ食いしばれ。 |